2009 Fiscal Year Annual Research Report
食餌同期性概日リズムを刻む視床下部背内側核ニューロンの機能解析
Project/Area Number |
20390056
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三枝 理博 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (20296552)
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Keywords | 概日リズム / 摂食 / 視床下部 / マウス / ニューロン |
Research Abstract |
毎日固定した一定時間帯でのみ餌が得られる環境下では、動物は給餌前数時間にわたり食物探索行動を示し、給餌時間内に十分量摂食するように順応する。この食餌同期性概日行動リズムは、哺乳類の概日リズム制御中枢・視交叉上核(SCN)とは別の生物時計(食餌同期性クロック)によって制御される。我々は以前、視床下部背内側核(DMH)が食餌同期性クロックの有力な候補部位であることを見いだした。食餌同期性クロックは環境、生活習慣への適応、不適応のメカニズムを理解する上で重要であると考え、本研究ではDMH食餌同期性クロック(DOMFEC)ニューロンを突破口とし、食餌同期性概日リズム制御の神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。 DOMFECニューロンを含む前脳腹側部(SCNは含まない)で特異的に時計遺伝子BMAL1を欠損したマウスでは、食餌同期性概日リズムが減弱していた。またこのマウスでは自由摂食下においても、活動期(夜間)の自発活動パターンが野生型マウスに比べ変化していることが明らかになった。従って、SCN以外の前脳腹側部に存在する概日分子時計が食餌同期性リズムや自由摂食下での自発活動リズムの形成に関わっていることが示唆された。現在さらに、DOMFECニューロンを含み上記のマウスと異なる空間パターンでBMAL1を欠損したマウスの解析を行っている。 さらに、組換えアデノ随伴ウィルスベクターとFLEXシステム、DREADD (designer receptors exclusively activated by a designer drug)を組み合わせ、腹腔に薬剤を投与することでDOMFECニューロンを直接且つ特異的に活性化あるいは抑制できる系を構築したので、DOMFECニューロンの活性化・抑制が食餌同期性概日リズムや摂食、自発活動量にどのような効果を及ぼすか、明らかにする。
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