2011 Fiscal Year Annual Research Report
食餌同期性概日リズムを刻む視床下部背内側核ニューロンの機能解析
Project/Area Number |
20390056
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三枝 理博 金沢大学, 医学系, 准教授 (20296552)
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Keywords | 概日リズム / 摂食 / 視床下部 / マウス / ニューロン |
Research Abstract |
毎日固定した一定時間帯でのみ餌が得られる環境下(制限給餌)では、動物は給餌前数時間にわたり食物探索行動を示し、給餌時間内に十分量摂食するように順応する。この食餌同期性概日活動リズムは、概日リズム制御中枢・視交叉上核(SCN)とは別の生物時計(食餌同期性クロック)により制御される。申請者は食餌同期性概日リズムにおいて、視床下部背内側核(DMH)における時計遺伝子の機能が重要との仮説の基、本研究計画を提案し、遂行してきた。しかしこの2-3年に、DMHのみならず時計遺伝子の関与にさえ否定的な報告がされた。 今年度申請者らは、神経系特異的に時計遺伝子Bma11を欠損したマウスを解析し、神経系における時計遺伝子・概日時計が食餌同期性活動リズムに必須で、この時計を欠損すると自発活動リズムだけでなく摂食調節機構も制限給餌に適応できず、体重を維持できないことを示した。即ち、脳内の食餌同期性クロックが食物探索行動と摂食を適切なタイミングで行うように制御していると考えられる。時計遺伝子が関与しないとの先行報告には問題点があり、それを踏まえた統合的な説明を提示した。またDMHの関与に関してもごく最近、先行論文との違いを踏まえた上で「やはりDMHが重要である」との報告がされた。従って、本研究課題の妥当性・重要性が確認された。 近年ヒトに於いても、睡眠時間や食事の時刻などのライフスタイルと、肥満やメタボリック・シンドロームの発症との間の密接な関係が注目されており、本研究の成果は意義あるものである。作成した神経系特異的Bma11欠損マウスは、SCN光同期性クロックはほぼ正常に保たれたまま、脳内食餌同期性クロックのみが特異的に欠損したマウスである。このモデルマウスを用いて、食餌同期性クロックがいかにして食欲・食行動や様々な身体機能を支配しているのかを明らかにすることで、さらに有用な情報を得られる。
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Research Products
(9 results)