2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能的プロテオミクスと1分子シグナル伝達解析法による血管緊張異常の分子機構の解明
Project/Area Number |
20390059
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小林 誠 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80225515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 博子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40359899)
加治屋 勝子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00379942)
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Keywords | 病態生理 / 血管病 / 1分子 / シグナル伝達 / 機能的プロテオミクス |
Research Abstract |
心筋梗塞や脳卒中などの血管病は合計すると我国死因の第2位である。中でも急性発症の血管攣縮のような異常収縮は、突然死の主因である。血管異常収縮の分子機構を解明し、副作用のない分子標的治療薬を開発することが急務である。しかしながら、報告されている血管異常収縮のシグナル伝達経路は、施設によっても、また実験手技や解析法によっても、真逆の結果が出ている場合が少なくなく、混乱を極めている状況にある。よって、未だ異常収縮治療の標的分子さえ、確信をもって同定することができず、従って、標的分子の機構解析、特に病的役割を解明するには程遠いのが現状である。従って、本研究では、従来の不確定な方法論ではなく、より確実な手法を導入して、確定的な実験結果を得る事を目指す。確実な科学的実証としては、『見えるもの』と『物質の存在』である。本研究では、『見えるもの』として、血管異常収縮の各シグナル分子とその相互作用のリアルタイム可視化を目指し、また、『物質の存在』として質量分析による物質とその修飾の同定を試みる。これらの確実な科学的実証方法により、血管異常収縮の分子機構を解明することを試みる。 本年度は、以下の研究成果を得た。 1)初年度、次年度において、表面プラズモン共鳴法と膜ラフトモデル膜作製法を応用して、開発に成功した「膜ラフトモデル膜における病的シグナル分子相互作用を解析するシステム」を用いて、血管病原因シグナル分子の相互作用を時空間的に解析し、膜コレステロール含量が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 2)初年度、次年度において、開発に成功した「カルシウム非依存性にリン酸化されたミオシンとアクチンの1分子動態をリアルタイムに観察するシステム」をさらに解析を行い、カルシウム非依存性の異常収縮においても、正常収縮の最大収縮に匹敵する速度で、すべり運動が引き起こされることを明らかにした。 3)質量分析計を用いて、血管異常収縮の候補となる新規シグナル分子をほぼ同定することができた。
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