2010 Fiscal Year Annual Research Report
受容体作動性Caイオン流入機構の分子メカニズムと中枢神経伝達物質遊離機序
Project/Area Number |
20390068
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西宗 敦史 福井大学, 医学部, 学内講師 (40311310)
宇和田 淳介 福井大学, 医学部, 助教 (70580314)
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Keywords | alpha 1A-アドレナリン受容体 / 受容体作動性Ca^<2+>イオン流入 / 神経伝達物質遊離 |
Research Abstract |
Gqタンパク質と共役する受容体GqPCRは、一般に細胞膜に存在し、IP_3を産生して細胞内Ca濃度を高めることにより、細胞外の情報を細胞内に伝えると考えられている。このCa増加機序としては、小胞体からのCa遊離と細胞外からのCa流入の2つが想定されている。私たちは、GqPCRの代表であるalpha 1A-アドレナリン受容体が、この受容体と相互作用するsnapinおよびTRPC channelと複合体を形成することにより、細胞外のCaを流入させていることを、免疫沈降法、FRET実験、fura2を用いた細胞内Ca濃度測定法により明らかにした。そして、この細胞内Ca濃度増加が、神経伝達物質の遊離と関係することを培養細胞レベルで証明した。一方、もう一つの代表的GqPCRであるM1ムスカリン受容体についても研究を進め、alpha 1A-アドレナリン受容体と同様な機序で細胞内Ca濃度を増加させることを明らかにした。しかし、ラジオリガンド結合実験や免疫組織学的研究から、M1ムスカリン受容体は細胞膜だけでなく細胞内にも大量に存在するという興味ある結果を得た。そして、細胞内M1ムスカリン受容体は、細胞膜に存在する受容体とは異なり、Gqタンパク質と共役することもなく、また細胞内Ca濃度を増加することもなく、MAP kinase系を特異的に活性化させることを明らかにした。この結果は、細胞膜レベルで細胞外情報を細胞内に伝達するという従来の膜受容体概念を覆すものである。これまで高次脳機能とムスカリン受容体との関係が示唆されてきたが、そのメカニズムはいまだ不明である。今回のムスカリン受容体の細胞内分布と機能の発見は、高次脳機能を解明する上でブレイクスルーになることが期待される。
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Research Products
(7 results)