2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390073
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
鍋島 俊隆 Meijo University, 薬学部, 教授 (70076751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間宮 隆吉 名城大学, 薬学部, 助教 (70340297)
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Keywords | 統合失調症 / 行動学 / 遺伝子 / ストレス / 神経化学 |
Research Abstract |
本研究課題では、遺伝因子(DISC1)および環境因子(精神的ストレス)の両面から統合失調症の発症機序を追求すると共に新規創薬標的を探索することを目的としている。本年度は、(1)DISC1変異遺伝子過剰発現マウスを用いた遺伝因子に関する解析、および(2)母子分離・隔離飼育ストレスを用いた環境因子に関する解析を行動学的、神経化学的手法を用いて検討した。(1)8週齢プリオンプロモーターDISC1変異遺伝子過剰発現マウスを用いて、各種行動試験を行ったところ、プレパルス抑制試験、ロタロッド試験、Hidden food試験において行動異常が認められたことから、情報処理機能、運動機能、嗅覚機能に障害を有することが示された。(2)正常C57BL/6Jマウスに対し、発育期において母子分離・隔離飼育ストレスを負荷後、各種行動試験を行った。その結果、オープンフィールド試験、社会性行動試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験、自発的交替反応試験、新奇物体認知試験、恐怖条件付け学習試験、プレパルス抑制試験において行動異常が認められた。生後15日齢から1週間のみ母子分離・隔離飼育ストレスを負荷されたマウスにおいても、グループ飼育マウスと比較して、行動異常が認められたことより、脳構造形成に重要な時期であると報告のある生後15-21の飼育環境が、思春期以降の行動に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、ストレス負荷後の血中コルチコステロンレベル、脳内モノアミン、およびそれら代謝物の量を定量化したところ、これら行動異常には、血中コルチコステロンレベルの上昇、前頭前皮質、扁桃体および側坐核におけるノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン作動性神経系の異常が関与していることが示唆された。本年度の研究成果を基に、次年度では遺伝因子と環境因子の相互作用に関する解析を進める予定である。
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Research Products
(26 results)