2009 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質のクロストークを仲介するRap1活性化因子の機能解析
Project/Area Number |
20390080
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 Kobe University, 医学研究科, 教授 (40144472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (20251655)
島 扶美 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70335438)
|
Keywords | 低分子量G蛋白質 / Rap1 / グアニンヌクレオチド交換因子 / ノックアウトマウス / 神経細胞移動 / 帯状異所性灰白質症 / 血管形成 / 癩癇 |
Research Abstract |
1,RA-GEF-1(Rapgef2)の神経細胞における機能をRA-GEF-1^<flox/flox>マウスをEmx1-creマウスと交配して作製した終脳特異的RA-GEF-1ノックアウトマウスを用いて解析した。このマウスは一見正常に発育するが、その脳は正常な6層構造を持つ大脳皮質の下に層構造を失った神経細胞塊(異所性皮質下塊)を有し、ヒトの神経細胞移動異常疾患の一つである帯状異所性灰白質症と酷似した組織像を示し、ピロカルピン誘発性癩癇モデルにおいて感受性亢進を示した。また、このマウスは、前交連や脳梁の形成異常、側脳室の拡大、海馬の構造異常を示し、さらに順行性及び逆行性トレーシングにより、両嗅球間連絡神経線維の前交連での途絶など、神経線維の走行に大きな異常が見出された。これらの結果は、低分子量G蛋白質Rap1とその活性化因子RA-GEF-1の神経細胞移動における重要な役割を初めて証明した。 2,RA-GEF-1がマウス胎生期の血管(脈管)形成に必須である分子機構を解析した。胎生8.5日の胎児から単離した尿膜嚢の器官培養やOP9細胞上での血管内皮細胞培養により、RA-GEF-1ノックアウトにより、血管内皮細胞の集積・管腔構造の形成と細胞接着因子VEカドヘリンの内皮細胞接着面への集積、ならびにRap1の活性化が著明に低下することがわかった。また、これらの低下は、恒常的活性型Rap1の発現により是正された。これらの結果は、RA-GEF-1によるRap1活性化が血管内皮細胞のVEカドヘリン依存性の接着を促進を介して、胎生期の血管(脈管)形成を誘導するという機構を強く支持した。 3,RA-GEF-1^<flox/flox>マウスとK5-creマウスを交配して皮膚角化細胞特異的RA-GEF-1ノックアウトマウスを作製したところ、肉眼的形態学異常はなかったが創傷治癒の異常が見出された。
|