2010 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質のクロストークを仲介するRap1活性化因子の機能解析
Project/Area Number |
20390080
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 孝哉 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (20251655)
島 扶美 神戸大学, 医学研究科, 講師 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70335438)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / Rap1 / グアニンヌクレオチド交換因子 / ノックアウトマウス / 神経細胞移動 / 帯状異所性灰白質症 / 雄性不妊 / 精子形成異常 |
Research Abstract |
1、終脳特異的RA-GEF-1(Rapgef2)ノックアウトマウスがヒトの神経細胞移動異常疾患の一つである帯状異所性灰白質症と酷似した異所性皮質下塊を形成するメカニズムを解析した。胎生期の様々な時期に分裂している神経前駆(幹)細胞をBrdU標識し、その移動を追跡したところ、発生後期に生まれる神経細胞の移動が特異的に障害されていることがわかった。また、子宮内エレクトロポレーション法を用いて脳室帯に存在する神経前駆細胞にGFP(緑色蛍光蛋白質)発現ベクターを導入して標識し、その移動を追跡したところ、神経細胞の移動速度が著しく低下していることが証明された。これらの結果は、低分子量G蛋白質Rap1とその活性化因子RA-GEF-1の神経細胞移動における重要な役割を世界で初めて証明した。 2、終脳特異的RA-GEF-1ノックアウトマウスは、前交連や脳梁の形成異常(欠損)を示すので、神経線維の走行を順行性及び逆行性トレーシング法により、詳細に解析した。その結果、両嗅球間連絡神経線維の前交連での途絶や脳梁の神経軸索が正中線を越えないことがわかった。脳梁の神経軸索が正中線を越えない部分に一致して、脳梁形成に係る神経軸索ガイダンスに関与するとされる灰白層グリアの消失が見られた。この結果は、Rap1とRA-GEF-1の神経線維の正中線交叉における重要な役割を初めて証明した。RA-GEF-1のホモログRA-GEF-2が統合失調症に関与するとの遺伝学的論文があり,この結果は非常に興味深い。 3、RA-GEF-2(Rapgef6)ノックアウトマウスのオスにて、睾丸のサイズの著しい減少、精子数の減少による雄性不妊が観察された。精細管の分化途上の精細胞においてRA-GEF-2の強い発現が認められ、RA-GEF-1の発現はなかった。本結果は、RA-GEF-2の精子形成における新機能を示唆した。
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