2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムストレス応答性転写抑制機構ーヒストンH3ーT11リン酸化の制御ー
Project/Area Number |
20390083
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中西 真 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 癌 / 発現制御 |
Research Abstract |
DNA損傷に反応した転写抑制を制御するヒストンH3-T11の脱リン酸化を触媒するプロテインホスファターゼの同定と、 DNA損傷による活性制御機構を明らかにした。H3-T11の脱リン酸化はDNA損傷非依存的経路および依存的経路の異なる経路により制御されており、DNA損傷依存的H3-T11の脱リン酸化にはPP1ガンマーが関与していることが分かった。興味深いことに、 PP1ガンマーはサイクリン-Cdk依存的にトレオニン320がリン酸化を受けて活性が不活性化することが分かった。このことはDNA損傷存在下において、ATR-Chk1経路が活性化され、 Cdc25を介してCdk活性が抑制を受けることにより、 PP1ガンマーのT320が脱リン酸化され、活性化されることによりH3-T11の脱リン酸化を促進している可能性が示唆された。以上の結果は、ヒストンH3-T11のリン酸化の程度はDNA損傷存在下において、ATR依存的Chk1リン酸化によるChk1分子のクロマチンからの遊離と、それに伴う、 Cdc25分子の不活性化、サイクリンーCdk活性の抑制とPP1ガンマー活性化の2経路により制御されていると考えられた。
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