2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390086
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中邨 智之 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (20362527)
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Keywords | 弾性線維 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
弾性線維は、伸び縮みする臓器・組織(動脈・肺・皮膚など)に多くあって、その弾性を担っている。老化による動脈中膜の硬化、肺気腫、皮膚のたるみなどは弾性線維の劣化・断裂によるものであり、弾性線維再生に向けて弾性線維形成機構の解明は重要な課題である。申請者は弾性線維形成に必須のインテグリンリガンド、fibulin-5(DANCEともいう)を発見した。fibulin-5遺伝子欠損マウスは、全身の弾性線維形成異常のため、皮膚のたるみ、肺気腫、動脈の硬化など、ヒトの老化によく似た表現型を示した。一方、fibulin-5によく似たファミリー分子fibulin-4の遺伝子欠損マウスも弾性線維がほとんどできないという表現型を示し、fibulin-4,5は弾性線維の形成過程において別々のメカニズムによって必須の役割をはたしていることがわかった。本研究では、fibulin-4,5の作用様式の違いを明らかにし、それによって弾性線維形成の分子機構の理解をすすめることを目的とした。fibulin-4の平滑筋特異的ノックアウトマウスを作成したところ、動脈弾性板の形成異常をきたし上行大動脈瘤を発症した。これに対してfibulin-5ノックアウトマウスでは動脈弾性板の形成異常はあるが大動脈瘤を発症しなかった。fibulin-4,5の結合分子の違いを検索したところ、fibulin-4ではエラスチンをクロスリンクする酵素であるリシルオキシダーゼと結合するがfibulin-5は結合しないことを見出した。また、リシルオキシダーゼはfibulin-4存在下でのみエラスチンと結合することができた。このことはfibulin-4がリシルオキシダーゼをその基質であるエラスチンにリクルートする働きをしていることを示唆している。
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