2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390087
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古川 貴久 Osaka Bioscience Institute, 発生生物学部門, 研究部長 (50260609)
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Keywords | 中枢神経系 / 網膜 / 細胞運命 / 視細胞 / 遺伝子制御 / エンハンサー |
Research Abstract |
我々は、網膜視細胞の運命決定機構の分子機構を解明するために、網膜視細胞におけるOtx2発現制御機構の解析ならびにOtx2蛋白質の機能ドメインの解析を通じて、視細胞の運命決定における遺伝子制御と蛋白質制御の解析を行い、本年度は下記の研究成果を得た。 (1)細胞の運命決定に必須であるOtx2遺伝子の発現制御因子の同定 我々は、マウスOtx2遺伝子の周辺領域-30kb~+80kbに視細胞エンハンサーがあることを見出し、この領域からさらに、トランスジェニックマウスを用いたin vivo解析で500bpの領域が、胎生13.5日の視細胞での発現に重要であることを見出した。これをさらに確認するために、500bpのエンハンサー断片の下流にミニマムプロモーター配列とOtx2遺伝子を繋げたコンストラクトでOtx2コンディショナルKO(CKO)マウスの機能回復実験を行い、この500bpを含むコンストラクトで機能回復されることを見出した。さらに、このエンハンサーに複数の転写因子が結合することを見出し、現在候補となる転写因子の網膜特異的CKOにおけるOtx2の発現を検定中である。この解析から視細胞運命決定の分子機構が明らかになると期待される。 (2)錐体で発現する転写因子raxとMEF2Dのコンディショナルノックアウト(CKO)マウスの解析 rax-floxマウスとタモキシフェン誘導性のCrx-CreERT2マウスとのかけあわせで、視細胞でのrax CKOマウスを作製し、raxの錐体発生での機能を解析している。rax-flox : Crx-CreERT2のマウスの生後4-6日に2回タモキシフェン投与し、生後21日目に網膜を解析したところ、錐体が特異的に大きく減少しており、raxが錐体の維持に必須であることが明らかとなった。さらに、MEF2D CKOを作製しており、すでにヘテロ状態のものは完成しており、ホモ欠失CKOができ次第、網膜の免疫組織学的解析、生理学的解析を行い、MEF2Dの錐体発生における機能を明らかにしていく。
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