2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコム群によるES細胞維持と分化の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20390088
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古関 明彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫器官形成研究グループ, グループディレクター (40225446)
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Keywords | ポリコーム群 / ヒストン / ES細胞 / Oct3 / 4 / ユビキチン |
Research Abstract |
ポリコーム群は、ヒストンH3K27をメチル化するタンパク複合体(PRC2)とH2Aをモノユビキチン化するPRC1の作用を介して、多くの発生関連遺伝子群に結合する。最近、ポリコーム群の標的遺伝子と、Oct3/4、Sox2、Nanogが構築するES細胞維持に必要なコアサーキットの標的遺伝子が有意にオーバーラップすることが示され、本研究はポリコーム群とコアサーキットの機能的相関を明らかにするために行われた。最初に、ES細胞におけるポリコーム群の機能を明らかにするために、PRC1の構成因子であるRing1AとRing1Bをコンディショナルに欠損させた。その結果、ES細胞は、多くの発生関連遺伝子を発現し、自律的に分化していった。すなわち、ポリコーム群はES細胞の未分化性維持に必須であることが示された。一方、PRC1によって媒介されるモノユビキチン化されたヒストンH2Aの分布をゲノムワイドに探索したところ、PRC1が結合するドメインの一部を反映し、そこはPRC1が機能的に最もアクティブなドメインであることが示された。さらに、この遺伝子群はコアサーキットの優先的な標的であることが明らかになった。コアサーキットのポリコーム群への作用を明らかにするために、PRC1の標的遺伝子座への結合は、コアサーキットに依存していたことから、ポリコーム群はコアサーキットの下部構造として、これらの標的遺伝子群に共局在し、ES細胞維持に寄与することが明らかになった。
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