2008 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス代謝制御における核-細胞質クロストークとアポトーシス誘導機構の解明
Project/Area Number |
20390091
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (70345312)
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Keywords | アポトーシス / ストレス / DNA損傷 / プロテオミクス / キナーゼ / がん細胞 |
Research Abstract |
酸化ストレスにおけるアポトーシス誘導に関わる新規遺伝子の網羅的探索を目的として、shRNA発現ライブラリーを用いたスクリーニング系を構築した。様々な試行錯誤を経て、細胞にshRNA発現ライブラリーを導入後、酸化ストレス刺激によりアポトーシスから逃れた細胞を回収して、いかなる遺伝子に発現抑制が起きているかを調べていくという作業仮説で実験を進めた。その結果、アポトーシス関連遺伝子の候補として32クローンを同定し、そのなかで最も細胞死誘導に関与している遺伝子としてTAF1という分子を見出した。TAF1は基本転写因子の中核をなす分子であり、そのアポトーシス誘導における機能解析を進めるために、マイクロアレイによる発現解析を行った。その結果、TAF1に制御されている分子群においてp27の発現が細胞死誘導に関わっていることを見出した。 また酸化ストレスによるc-Ab1の核-細胞質シャトリング機構についても研究を進めた。c-Ab1は14-3-3と結合することによって不活性の状態で細胞質にとどまっているが、細胞に酸化ストレスが加わると、14-3-3から解離し核に移行した後に活性化し、細胞死(アポトーシス)を誘導する。c-Ab1 Thr735のリン酸化は14-3-3結合モティーフでありc-Ab1の局在制御に重要であるが、 Thr735をリン酸化するキナーゼが不明であった。そこで、Thr735特異的リン酸化抗体とcDNAライブラリーファージを用いたスクリーニングによりc-Ab1 Thr735をリン酸化するキナーゼの同定を試みた。その結果、TTKが細胞内でThr735をリン酸化するキナーゼであることを明らかにした。さらにTTKをノックダウンするとc-Ab1の核内集積が起こり、酸化ストレスによるc-Ab1依存的なアポトーシスが促進したことから、c-Ab1を細胞質内に留めることで酸化ストレスによるアポトーシスに抵抗性を示すというTTKの新たな機能が示唆された。
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Research Products
(7 results)