2009 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス代謝制御における核―細胞質クロストークとアポトーシス誘導機構の解明
Project/Area Number |
20390091
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (70345312)
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Keywords | アポトーシス / ストレス / 酸化ストレス / リン酸化 / キナーゼ / がん細胞 |
Research Abstract |
腫瘍壊死因子TNF-αによって引き起こされる酸化ストレスを中心に、レドックス代謝制御におけるキナーゼの働きを引き続き検証した。その中で、PKCδがTNF-αの刺激に伴って、細胞質から核に移行することを見いだした。この移行はキナーゼ活性依存的であり、NF-κBの構成因子であるRelA/p65の活性に関わっていることを突き止めた、PKCδは核内でRelA/p65と複合体を形成し、その転写活性を正に制御している。またTNF-αによる細胞死誘導がPKCδの活性阻害によって有意に抑制された。以上のことより、PKCδはRelA/p65の活性を介して、サイトカインによる酸化ストレスによって惹起されたアポトーシス誘導を抑制するという新たな働きを見いだした。 我々はさらにTNF-αによる細胞内シグナリングに中心的な役割を果たすRelA/p65の機能について、特にその活性化に必須であるSer276のリン酸化に着目した。まず、Ser276特異的リン酸化抗体とcDNAライブラリーファージを用いたスクリーニングによりRelA/p65 Ser276をリン酸化するキナーゼの同定を試みた。その結果、Pim-1が細胞内でSer276をリン酸化するキナーゼであることを明らかにした。興味深いことに、Pim-1はSer276をリン酸化することによってRelA/p65の活性を制御するだけでなく、その発現の安定性にも寄与していることが判明した。Pim-1はさらにRelA/p65 Ser276のリン酸化を介してTNF-αによって誘導されるアポトーシスを有意に抑制していることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)