2010 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス代謝制御における核―細胞質クロストークとアポトーシス誘導機構の解明
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20390091
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70345312)
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Keywords | アポトーシス / ストレス / 酸化ストレス / リン酸化 / キナーゼ / がん細胞 |
Research Abstract |
癌の進展と密接に関わっている細胞内シグナル経路の一つとして、NF-kappaBシグナルが知られている。この標的遺伝子の大部分が細胞生存に関与しており、多くの癌でこのシグナルが活性化している。このシグナルを抑制することが出来れば、癌の進展や転移を抑えることが出来る可能性が高まる。NF-kappaBを構成する転写因子の一つであるRelA/p65はリン酸化などの多様な翻訳後修飾を受け転写活性が制御されている。なかでもセリン276残基のリン酸化はRelA/p65のDNA結合活性を亢進すると共に、転写コアロベーターCBP/p300との結合を誘導することから、RelA/p65の転写能を活性化する重要な修飾であることが明らかになってきた。しかしこのリン酸化を担うキナーゼははっきりしない。そこでこのキナーゼを同定するためにラムダファージによるSer276リン酸化特異的抗体を用いた発現クローニングを行い、候補となるキナーゼの同定を試みた。その結果Pim-1を同定した。Pim-1はTNFalphaなどのサイトカインによる酸化ストレス刺激によりRelA/p65をリン酸化し、その転写活性能を亢進するとともに、SOCS-1によるRelA/p65のユビキチン化を抑制し、安定化に寄与していることが明らかとなった。さらにPim-1によるNF-kappaBの活性化は、TNFalpha依存的な細胞死(アポトーシス)誘導を抑制していることが示唆された。以上の結果、Pim-1によるSer276のリン酸化は、RelA/p65の活性化のみならず安定化にも寄与することで、NF-kappaBシグナルを正に制御していることが示唆された。多くの癌でPim-1の過剰発現や活性化が報告されていることから、Pim-1が癌の分子標的となることが期待される。
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Research Products
(4 results)