2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン系が関与する新規NF-κB活性化機構と炎症との関連
Project/Area Number |
20390097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00212069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 一宏 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60252459)
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Keywords | 酵素 / 細胞・組織 / 蛋白質 / 分子腫瘍学 |
Research Abstract |
タンパク質のユビキチン化修飾は、タンパク質分解、細胞内局在、シグナル伝達、DNA修復など多彩な細胞機能に関連することが示されている。これらの機能発現にはユビキチンの架橋様式の差違が深く関与し、Lys48型ポリユビキチン鎖は分解シグナルとして、Lys63型はシグナル伝達やDNA修復に機能することが知られている。我々はHOIL-1LとHOIPからなるRING型ユビキチンリガーゼ複合体(LUBAC)がユビキチンのN末端α-アミノ基を介する新規の直鎖状ポリユビキチン鎖を形成することを同定した。さらにこのユビキチンリガーゼが古典的NF-KB経路を強く活性化することを見いだした。そこで本研究で我々は、LUBACユビキチンリガーゼによるNF-KB活性化機構の解明を試みた。その結果、LUBACは生理的にNEMO(NF-KB essential modulator, IKKγ)を直鎖状ポリユビキチン化することでIKBキナーゼの活性化を導き、古典的NF-KB経路を活性化することを明らかにした。さらに、HOIL-1のノックアウトマウスでは炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-1β)によって惹起されるNF-KB活性化が減弱し、相反してJNK経路が活性化されることによって肝細胞のアポトーシスが充進した。これらの結果はNEMOの直鎖状ポリユビキチン化が生理的なNF-KB活性化に含まれることを示している。本成果はNature Cell Biology誌に発表した。さらに同誌のほか、Nature Review Molecular Biology誌のHighlight、Science Signaling誌のEDITOR'S CHOICEにて紹介されるなどの反響を得ている。
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