2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン系が関与する新規NF-κB活性化機構と炎症との関連
Project/Area Number |
20390097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00212069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 一宏 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60252459)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
我々はHOIL-1LとHOIPからなる複合体がユビキチンのLys側鎖ではなく、N末端α-NH_2基を介した全く新しい直鎖状ポリユビキチン鎖を形成することを見いだし、生理的にはTNF-α刺激依存的にIκBキナーゼの制御サブユニットであるNEMOを直鎖状ポリユビキチン化することで、NF-κBの活性化を導くことを示した(Nature Cell Biol.2009)。さらに本研究において我々は、HOIL-1L欠損細胞においてもHOIPが完全には消失しないことからHOIPの新規結合タンパク質の検討を進め、HOIL-1Lと有意な相同性をもつSharpinが、HOIL-1L/HOIPとともに約600kDaの三者複合体を形成することを同定した。Sharpin/HOIL-1L/HOIP複合体は直鎖状ポリユビキチン鎖形成リガーゼ複合体(LUBAC)として機能し、刺激依存的にNEMOをユビキチン化することでNF-κBの活性化を導く。さらに、cpdmマウスと呼ばれるSharpinの自然変異マウスが報告されており、NEMOの機能不全型遺伝病であるEDA-IDに類似した慢性皮膚炎やバイエル板欠損など免疫系異常の症状を呈する。その発症機序は不明であったが、cpdmマウス由来細胞ではSharpinの欠損によりLUBACの他のコンポーネントであるHOIL-1LやHOIPの発現が低下することで、TNF-αやCD40刺激に伴うNF-κB活性化が減弱することを明らかにした。すなわち、直鎖状ポリユビキチン化はその異常が種々の疾患と関連するNF-κB活性化に必須な翻訳後修飾であることが明らかとなり、これらの成果をNature誌に発表した。
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