2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 カヨ Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (00115792)
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Keywords | 樹状細胞 / マクロファージ / レクチン / 細胞分化 / 機能 / 単球 / リンパ器官 / 皮膚 |
Research Abstract |
病原性微生物の認識に関わるパターン認識(pattern recognition)レセプターの一群を構成するC型レクチンのうち、これまで解析が進んでいないSIGNR3について、特異的単クローン抗体を作製して、生体内分布と発現細胞の同定を試み、以下の結果を得た。 PRT-CRの結果、皮膚、脾臓、胸腺、リンパ節に加え、肺や腎臓にmRNAの発現が認められ、Western blotにおいて、皮膚、脾臓、リンパ節に多く発現されていることが確認された。皮膚においてはSIGNR3^+細胞は、主に真皮に分布しており、それらはMHCクラスIIならびにCD11b陽性であり、一部にはCD11cの発現も認められた。そこで、体表リンパ節内での分布を組織化学的に検討したところ、濾胞間から副皮質外側にかけて多く存在していたが、さらにHEV周辺にもSIGNR3^+細胞が分布することが観察された。また、FACSによる解析から、CD11b陽性細胞の内、CD11c^<high>ならびにCD11c^<intermediate>の細胞とCD11b^<intermediate>CD11c^<low>の細胞にSIGNR3が発現されていることが明らかとなった。一方、末梢血中においてもCD115^+単球のうち、Ly6Clowの細胞がSIGNR3を発現していた。そこで、末梢血中の単球が末梢組織へと移動して、SIGNR3陽性へと分化する可能性を考慮し、SIGNR3未発現の骨髄Ly6C^<high>単球を標識して正常マウスへと移入して、SIGNR3の発現を検討したところ、末梢血ならびに骨髄中における移入細胞は一日目以降時間の経過と共にSIGNR3陽性となることが示された。一方、リンパ節においては、HEV周辺に移入細胞が分布することが示され、しかもそれらの内の一部は1日後にはSIGNR3を発現していた。次に、末梢血単球を用いて、同様の実験を行ったところ、リンパ節へと移動するのは専らLy6C^<high>細胞であることが示された。 以上の結果より、定常状態において、末梢血中の単球のうち、Ly6C^<high>細胞が、血行性にリンパ節へと移動し、樹状細胞あるいはマクロファージへと分化することが示された。
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