2008 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症時の自然免疫発動におけるT細胞介入機構の解明
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20390111
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松川 昭博 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90264283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 泰昌 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30403489)
飛田 陽 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10435026)
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Keywords | 敗血症 / 自然免疫 / サイトカイン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
T細胞による敗血症時の自然免疫への直接関与を知るために、マウスに感染性腹膜炎を誘導し、経時的に腹腔内のT細胞フェノタイプを解析した。その結果、腹腔内には未処置でも多くのT細胞が存在すること、一部はすでに活性化していることを見出した。敗血症誘導後は好中球、マクロファージの増加とともにT細胞も増加・活性化していた。腹腔内にはT細胞由来のサイトカンが検出され、サイトカイン情報伝達に関わるSTAT因子の活性化、SOCS因子の発現増加をみた。T細胞をRAG-2欠損マウス(T/B欠損マウス)に移植したのち敗血症を誘導すると、Th1サイトカイン産生は増幅されマウスは感染抵抗性を示した。この現象は、SOCS3やSOCS5の強制発現により増幅された。SOCS3の増幅では、ナイーブT細胞の減少、Th1細胞の減少、Tregの減少を認め、全身性炎症反応は軽減し、腎傷害は回避されて敗血症抵抗性を示した。以上より、T細胞は自然免疫賦活に働くことを明らかにした。今後、どのT細胞フェノタイプが主たる作用を発揮するのか明らかにする必要がある。 一方、急性肝炎モデルにおいてもSTAT因子の活性化、SOCS因子の発現増加がおこり、SOCS3やSOCS5のT細胞過剰発現により、炎症反応は修飾されて肝傷害の程度は大きく変化した。関節炎モデルにおいては、SOCS5の過剰発現によりTh1反応の増強により関節炎は重症化、遷延化した。
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