2009 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症時の自然免疫発動におけるT細胞介入機構の解明
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20390111
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松川 昭博 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90264283)
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Keywords | 敗血症 / 自然免疫 / サイトカイン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
初年度の研究で、T細胞は自然免疫担当細胞(食細胞)を活性化し、敗血症時の自然免疫を賦活することを見いだした。一方、多くのB細胞も腹腔内に常在し、感染によりその数は増える。B細胞の役割にも着目し、RAG-2欠損マウス(T/B細胞欠損マウス)にB細胞単独あるいはB細胞とT細胞を移入後に感染性腹膜炎を誘導した。その結果、B細胞単独移入群・B/T細胞移入群・細胞非移入群とも、感染性腹膜炎誘発後の腹腔内・末梢血中細菌保有量や敗血症後の生存率に変化はなく、B細胞の自然免疫への介入作用はないと結論した。 初年度の検討で、SOCS3のT細胞過剰発現により、感染性腹膜炎後の生存率に改善がみられることを報告した。さらなるメカニズム解明のため、今年度は胸腺アポトーシスに着目した。敗血症誘導により、野生型マウス胸腺では著明なアポトーシカスが誘導されるが、SOCS3のT細胞過剰発現により胸腺細胞のアポトーシスは著しく減少した。胸腺細胞のアポトーシス抑制は、敗血症抵抗性を示すことが報告されており、SOCS3過剰マウスの生存率改善の一因と考えられた。この減少は、STAT3活性化に依存する。次に、エンドトキシントレランスとT細胞シグナル伝達抑制に着目した。低濃度のエンドトキシンに暴露されたマウスは、高濃度のエンドトキシンに対して抵抗性を示す。T細胞SOCS3/SOCS5過剰発現マウスにトレランスを誘導して野生型マウスと比較したところ、SOCS5過剰マウスでトレランスの誘導は増幅した。SOCS3過剰発現マウスでは変化なかった。マクロファージ上のTNFa-R発現の低下がその原因との予備実験結果を得ており、現在、さらにメカニズムを解析中である。敗血症時のSOCS1の役割についても検討予定であったが、マウスの交配・繁殖に時間を要し、次年度に持ち越すこととした。
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