2008 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシンペルオキシダーゼがマラリア原虫の宿主寄生適応に果たす役割の解明
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20390118
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
河津 信一郎 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉糠 洋陸 国立大学法人帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (50342770)
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Keywords | 感染症 / マラリア / ストレス / レドックス / 遺伝子改変原虫 |
Research Abstract |
(1)ガメトサイト分化誘導過程で2-Cys型Prxが果たす役割の解析 ローデントマラリア原虫をマウスで連続経代して、2-Cys型Prx遺伝子欠損(Prx KO)の表現型に類似して、ガメトサイト(生殖母体)形成能が変異した原虫を作製した。同原虫について、ガメトサイト分化誘導時期のタンパク質発現プロファイルを、二次元電気泳動法で親株のそれと比較した。差異が認められるスポットについてLC-MS/MSによる質量解析をおこない、表現型関連タンパクの同定を試みた。2-Cys型Prx遺伝子欠損原虫での同実験も含めて、現在各原虫間でのタンパク質発現プロファイルの比較解析を進めている。 (2)オーシスト発育過程で2-Cys型Prxが果たす役割の解析 2-Cys型Prxには、オーシスト核DNAの保護作用が考察されるが、その核への移行には他の分子との相互作用が必要と考えられる。今年度は、酵母ツーハイブリッド法を用いて、ローデントマラリア原虫cDNAライブラリーを対象に、Prxと相互作用する分子の同定を進めたが、一次スクリーニングの過程で選択された候補分子の数が少なく(10以下)、二次スクリーニングへと実験を進めることができなかった。そこで、GFPやHAタグ付きのPrx分子を発現する遺伝子組換え原虫を作製し、免疫沈降法等を応用して、Prxと相互作用するタンパク質を同定する実験を再計画して、その準備に着手した。 (3)スポロゾイトの哺乳類感染過程で2-Cys型Prxが果たす役割の解析 Prx KOスポロゾイトのマウス接種試験と定量RT-PCR法を用いて、スポロゾイトの肝細胞への侵入と発育にPrxが果たす役割を検証した。その結果、Prx KOスポロゾイト接種マウスでは赤内型出現の潜伏期が延長した。一方、Prx KOスポロゾイトは野生型(WT)と同等にマウス肝実質に侵入した。また、Prx KOスポロゾイトはWTと同様に肝内型原虫に分化した。これらの成績から、Prx KOスポロゾイト接種マウスで観察された潜伏期の延長は、肝内型原虫の発育障害に起因すると考察された。Prxの肝臓型原虫の発育に果たす役割の解明について、今後更に詳細な観察を継続する予定でいる。
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Research Products
(7 results)