2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390126
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 重樹 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60379089)
福井 理 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70397743)
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Keywords | 百日咳菌 / 気管支敗血症菌 / DNAチップ |
Research Abstract |
研究の成果について、その具体的内容 昨年度開発した改良型WET法を用いて調製した試料のマイクロアレイ解析を行い、実験動物感染モデルにおいて気管支敗血症菌が発現する遺伝子を網羅的に同定した。感染1, 3, 9, 15, 30日後のラット気道組織から試料を調製し、感染期間を通じて発現が強く誘導される遺伝子群の中から、百日咳菌や類百日咳菌にはない気管支敗血症菌のみが保持する遺伝子の抽出を行い12の領域が得られた。得られた領域の制御下にある遺伝子をCOG分類より機能予測した結果、遺伝子発現制御に関係する8遺伝子と、付着因子の可能性のある3遺伝子が得られた。一方、既知の病原性遺伝子群発現の経時的変化に注目すると、付着遺伝子fhaB、III型分泌機構関連遺伝子群の感染中の恒常的な発現、付着遺伝子fim2の一過的な発現抑制と毒素遺伝子cyaAの一過的な発現誘導などが観察された。 研究の成果の意義、重要性 本研究で開発した改良型IVET法により、これまで解析が困難であった宿主、組織および感染時間など実際の感染環境の様々な違いに応じて発現する遺伝子群の変化を網羅的に解析することが可能になった。感染宿主内で発現誘導される遺伝子の同定によって広い宿主域で感染を成立させる気管支敗血症菌特異的因子の候補を提供することができた。今後、候補遺伝子の機能解析を通して宿主域の広い気管支敗血症菌と宿主をヒトに限局した百日咳菌の感染性の違いを明らかにする分子生物学的基礎知見を提供できると考えられる。また、感染経過に伴う病原性遺伝子の発現消長が観察されたことは、発現に影響を及ぼす感染宿主内環境因子が存在することと因子の量的あるいは質的な変動があることを示唆している。これは、感染宿主と病原性細菌の相互作用が経時的に変化することを意味しており、本菌の感染病態を理解する重要な知見と考えられる。
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Research Products
(3 results)