2008 Fiscal Year Annual Research Report
限局複製型生ワクチンのエイズウイルス複製抑制効果の解析
Project/Area Number |
20390131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
俣野 哲朗 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (00270653)
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Keywords | エイズワクチン / DNAワクチン / 弱毒化生ワクチン / HIV / SIV / マウスレトロウイルス / 細胞傷害性Tリンパ球 / 変異 |
Research Abstract |
予防エイズワクチン開発研究においては、HIV持続感染抑制に結びつく免疫誘導法を樹立することが重要な課題である。これまでの研究で弱毒化生ワクチンについては、安全性確立の見込みはないものの、サルエイズモデルでの十分な有効性が報告されている。本研究では、生ワクチンによる持続感染抑制機序を明らかにすることを目的として、サル免疫不全ウイルス(SIV)感染サルエイズモデルにおいて、私どもの考案した限局複製型生ワクチンのSIV複製抑制効果を解析する実験を開始した。本研究の限局複製型生ワクチンは、SIV分子クローンDNAのenv領域をヒト細胞にレセプターを有しないフレンドマウス白血病ウイルス(FMLV)env遺伝子に組換えたFMSIV DNAと、FMLVレセプター発現DNAとを共接種するもので、FMLVレセプター発現DNAが取り込まれた細胞に限局したFMSIVの複製を期待するものである。アカゲサルの家系情報から実験に用いる候補サルを抽出し、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ハプロタイプの解析から、特定のMHCハプロタイプを共有するサルを2群選択した。計4頭に限局複製型DNAワクチンを3回接種した後、末梢血リンパ球を用いた解析を行ったところ、従来のDNAワクチンではサルでのSIV特異的Tリンパ球反応の誘導検出が困難であったが、本研究の限局複製型DNAワクチン接種では、SIV特異的Tリンパ球反応の誘導が確認できた。なお、1カ月間隔で計3回の接種を行ったが、有意なブースター効果は認められなかった。平成21年度には、これらのワクチン接種サルにSIVチャレンジを行う計画である。
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