2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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Keywords | ゲノム / 一塩基多型 / HIV感染症 / DNAチップ |
Research Abstract |
出芽酵母は遺伝子改変が容易で、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の感染後期過程(粒子形成過程)に働く宿主因子の同定に用いられている。我々は出芽酵母を用いてHIV-1の感染前期に関与する宿主因子を解析する目的で、HIV-1が細胞壁を除去された出芽酵母内で逆転写を行うことが可能かどうかを検討した。まず、HIV-1の外被膜糖タンパク質に変異を導入し、代わりに出芽酵母の細胞壁を除去したスフェロプラストとの問で膜融合を起こし得る水庖性口内炎ウイルスの外被膜糖タンパク質(VSV-G)の発現ベクターとともに293T細胞株に導入してVSV-G-pseudotyped HIV-1ウイルスを作成した。次に出芽酵母のスフェロプラストにVSV-G-pseudotyped HIV-1ウイルスを吸着させて培養を行い、全DNAを回収した。逆転写がスフェロプラスト内で行われたかどうかを調べるためにRealtime-PCR法を用いてスフェロプラスト内のHIV-1の逆転写産物量を定量した。その結果、微量の逆転写産物が検出されたものの、予め熱で不活化しておいたウイルスと不活化していないウイルスの間で逆転写産物の量の差はほとんど見られなかった。このことから、VSV-G-pseudotyped HIV-1ウイルスは出芽酵母スフェロプラスト内では逆転写を行うことができないことが分かった。HIV-1ウイルスは試験管内で逆転写をさせることが可能であるので、出芽酵母スフェロプラスト内にHIV-1の逆転写を抑制する因子が存在することが示唆された。
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