2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390132
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
|
Keywords | HIV感染症 / 宿主因子 / 生理的リガンド / インターフェロン |
Research Abstract |
TRIM5αはアカゲザルの抗HIV因子として2004年に同定された。ヒトや旧世界ザルなど霊長類のレトロウイルスに対する自然免疫を担う重要な因子であるが、その抗ウイルス作用の詳細は明らかでない。一方、マウスにおいては長年TRIM5αのオーソログは明らかでなかったが、近年TRIM5αと同様にPRYSPRY領域を持つTRIM30αが、マウスにおけるTRIM5αのオーソログの一つと考えられるようになった。また、マウスのTRIM30αは、Toll様受容体からのNF-kB活性化シグナルをTAB2の分解を促すことで抑制することが報告されている。TAB2は、MAPキナーゼの活性化を制御するTAK1の活性化に関わるアダプタータンパク質である。そこで、蛍光エネルギー遷移の原理で溶液中でのタンパク質間の相互作用を高感度で検出できるアルファスクリーン法を用いて、TAB2が未だ生理的なリガンドが不明なTRIM5αのリガンドである可能性を検討した。その結果、対照としたデヒドロ葉酸還元化酵素とヒトTAB2との間ではバックグランウンド程度のシグナルしか検出されなかったが、ヒトTRIM5αとヒトTAB2との間では有意に増幅したシグナルが検出され、これらのタンパク質の間に相互作用が存在することが示唆された。一方、TAB2と複合体を形成するTAK1やTMF6とTRIM5αとの間ではごく弱いシグナルが検出されたのみであり、ヒトTRIM5αとヒトTAB2との間の相互作用は特異的なものであることが示唆された。もしヒトTRIM5αのTAB2への影響がマウスTRIM30αと同一であるならば、TRIM5αは抗レトロウイルス因子でありながら別な抗ウイルス因子であるインターフェロン産生にはむしろ抑制的に働くことになる。従ってTRIM5αの抗ウイルス作用機構の全容を解明するためにはさらなる解析が必要である。
|
Research Products
(14 results)