2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1タンパク質の細胞内ダイナミクス制御機構の解明
Project/Area Number |
20390136
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
梁 明秀 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (20363814)
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Keywords | レトロウイルス / 翻訳後修飾 / タンパク質輸送 |
Research Abstract |
HIV感染症の成立には、ウイルス-宿主タンパク質問の機能的相互作用のダイナミズムがウイルスの増殖や病原性発現機構に重要な役割を果たす。我々はHIV-1 Gagタンパク質が感染細胞内において宿主微小管に局在していることを見出し、宿主微小管ネットワークの安定性がGagの細胞内輸送やウイルス複製に関与するかについて検討した。HIV-1の分子クローンであるpNL4-3をSOCS1とともに各種細胞株に導入し、各種微小管重合阻害剤(ノコダゾール、コルヒチン、ビンブラスチン)で処理した後、上清中に放出されたウイルス粒子量を検討した。その結果、アクチン重合阻害剤やエンドソーム輸送阻害剤はSOCS1によるGagタンパク質の輸送やウイルス様粒子形成に特に影響しなかったが、微小管重合阻害剤はウイルス粒子形成を顕著に抑制した。次に微小管の安定性の関与を調べるために、微小管重合阻害タンパク質であるStathminをHIV-1感染細胞に導入後、ウイルス粒子形成能を検討した。その結果、Stathmin発現はHIV-1粒子形成促進を用量依存的に抑制した。以上より、宿主細胞の微小管安定性がGagタンパク質の細胞内輸送やその後の粒子形成に重要な役割を果たす事が示唆された。次にGagおよび関連タンパク質のユビキチン化が、ウイルス粒子形成に関与するかどうかを確認するため、C末端の2つのグリシンを欠如させた、ユビキチン優勢喪失変異体(myc-UbΔGG)を作製したところ、このユビキチン変異体はGagの細胞内輸送や粒子形成が顕著に抑制した。Gagタンパク質ユビキチン化が、そのユビキチン化部位に結合する未知の機能因子を介して、Gagの細胞内輸送に制御することが示唆された。
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