2010 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な生物活性を有するセマフォリンシグナルメカニズムの解明
Project/Area Number |
20390142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
熊ノ郷 淳 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10294125)
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Keywords | セマフォリン / FARP2 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
セマフォリンファミリーは1990年代初頭から神経ガイダンス因子として同定されてきた分子群であるが、近年、神経再生、血管新生・脈管形成、癌の進行、骨代謝疾患、免疫疾患への関与が明らかとなり、生体の組織構築と恒常性の維持に重要なpleiotropicな作用を有する分子群であることが明らかになるとともに、疾患治療の新たな創薬ターゲットとしても注目されている。我々のグループはこれまでセマフォリン分子群及びその受容体分子群の免疫系における役割を世界に先駆けて明らかにしてきている。本研究では、セマフォリンの有する多彩な生物活性がセマフォリン受容体Plexin-A1の下流で活性化されるDAP12,Rac,FARP2、MICALといったシグナル伝達分子によって、どのようなシグナルメカニズムで担われているかを解明することを目的にしている。本年度の研究で、セマフォリンシグナル分子FARP2の機能解析を行い、FARP2がインテグリンシグナルとRacのシグナルとを統合することによって、破骨細胞分化に必須の役割を果たしていることを明らかにしている。さらにFARP2遺伝子欠損マウスの作成と解析からも一連の知見を裏付ける所見を得ている(FASEB J.24:4782-92.2010)。また同じくセマフォリンシグナル分子であるMICAL分子の遺伝子欠損マウスを用いて骨の解析を行ったが、MICAL欠損マウスには骨の異常はみとめず、骨組織においてはFARP2が重要なシグナル分子であることが明らかになっている。
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