2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌のスクリーニングに用いる臨床検査の診断特性と費用対効果への影響
Project/Area Number |
20390152
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井上 裕二 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80213180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 博 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (50176195)
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Keywords | 肝細胞癌 / スクリーニング検査 / 診断特性 / 予後予測モデル / 費用対効果分析 |
Research Abstract |
肝細胞癌のスクリーニング検査にもちいる腫瘍マーカの診断能を文献調査および後ろ向き症例調査で比較した。複数の横断研究から診断特性(感度、特異度)を求めると、AFP 20ng/mlで0.62、0.80、PIVKA2 40ng/mlで0.58、0.94であったのに対し、長期にわたる経過観察後に診断された肝細胞癌患者の一年以前の最古のデータを陰性コントロールにした症例調査ではAFPで0.50、0.61、PIVKA2で0.46、0.92であり、文献から推定するほどの診断特性は高くなく、実際に腫瘍マーカが発見のきっかけとなったのは13%にすぎなかった。一方、腫瘍マーカの経時変化を計量的に捉えて日率0.2%を超える4時点間(3回連続)以上の上昇を認める場合の特異度は、AFPで0.82、PIVKA2で0.93以上と高く、後者では0.6%/日(18%/月)以上の上昇があればほぼHCCと診断されることが示唆された。 肝細胞癌スクリーニングの費用対効果は、腫瘍増大モデルを適用して癌が増殖する自然歴をモデル化し、スクリーニング検査あるいは症状発現あるいは偶然に発見された肝細胞癌の状態(腫瘍径)に従って治療法を選択する判断モデルにより解析した。腫瘍増大モデルは、単純指数関数モデル、Gompertzモデル、初期遷延モデル、前記三モデルの混合増大モデルとしたとき、スクリーニング発見時の平均腫瘍径は、其々2.87cm、2.27cm、2.16cm、2.44cmであり、偶然発見群に対するスクリーニング検査群の増分費用対効果比は、其々$34,200、$158,400、$38,200、$48,300となった。これは、腫瘍増大モデルによってHCCの進展速度が大きく異なり費用対効果に多大に影響することを示しており、判断モデルの構造そのものの感受性分析が重要であることを示すものである。
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Research Products
(9 results)