2008 Fiscal Year Annual Research Report
領域別診療フレーム解析を用いた救急医療における医療安全と質保証に関する研究
Project/Area Number |
20390154
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
織田 順 Tokyo Medical University, 医学部, 准教授 (60459500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 佑嗣 東京医科大学, 医学部, 助教 (50408126)
小池 大介 東京医科大学, 医学部, 助教 (60408094)
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Keywords | 診療フレーム構造 / リスクマネジメント / 質保証 / 医療安全 / 救急医学 |
Research Abstract |
救急領域では診療の標準化による医療安全への取り組みは他の領域と比較して遅れがちで、現状ではインシデント報告の蓄積や確認項目のIT化による改善が試みられているにすぎない。特に1-2次救急の診療担当者は、日常は救急以外の様々な専門性で仕事をしている非救急専従医であるが、その構造的な特徴に注目して救急医療の質保証を検討した研究はない。本年度の研究として、患者状態適応型パスシステムの考え方により、救急を含む各領域の代表的な傷病に対する診療過程を、臨床プロセスチャートを用いて可視化していくと、診療フレームというべき思考プロセスに大きな違いがあることが明らかになった。つまり、救急医療における質保証の重要な柱として、異なるフレームにおける診療(他科領域なので慣れない)、フレーム形成が未熟(経験の浅さによる)などのリスク解析が診療フレームを使用することにより可視化された。さらに、アナフィラキシー症例に対する臨床プロセスチャートを新たに開発した。食物や薬剤によるアナフィラキシー症例は医療従事者であれば誰もが遭遇する可能性のある急性病態である無処置では気道閉塞から死に至ることがあるためしばしば診療の是非が争われる。適切な気道確保が実施されるだけで救命可能であることから、「防ぎうる死(preventable death)」の代表的な病態として教育プログラムに好んで取り入れられてきた経緯があり、後に教育と関連した分析が行える可能性があるため、本年度はこの診療フレームを可視化した。普段異なる診療フレームに従事している医療者が「防ぎうる死」への対処に際して困難な点が明らかになった。
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Research Products
(16 results)