2010 Fiscal Year Annual Research Report
領域別診療フレーム解析を用いた救急医療における医療安全と質保証に関する研究
Project/Area Number |
20390154
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
織田 順 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60459500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 一成 東京医科大学, 医学部, 助教 (20449169)
織田 香里 東京医科大学, 医学部, 助教 (10366130)
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Keywords | フレーム構造 / リスクマネジメント / 質保証 / 医療安全 / 救急医学 / 救急医療 / 多職種連携 |
Research Abstract |
救急領域では診療の標準化による医療安全への取り組みは他の領域と比較して遅れがちで、現状ではインシデント報告の蓄積や確認項目のIT化による改善が試みられているに過ぎない。特に1-2次救急の診療担当者は、日常は救急以外の様々な専門性で仕事をしている非救急専従医であるが、その構造的な特徴に注目して救急医療の質保証を検討した研究はない。1年目には患者状態適応型パスシステムの考え方により、救急を含む各領域の代表的な診療過程を、臨床プロセスチャートを用いて可視化し、診療フレームというべき思考プロセスに大きな違いがあることを見いだした。2年目には総合診療における内科診断学を例にとり、旧来の診断学を対象に診療上の着目点・発送・着想について粒度を小さくした解析を行い、見逃しリスクに陥るフレーム構造を明らかにした。最終年度である今年度は研究計画通り、医師以外の他職種へのフレームを検討した。救急医療では、救急傷病者は病院前救護(プレホスピタルケア)から救急外来や救命センターに搬入されてくるが、病院前から医療機関にかけてのフレーム構造に着目し、実装可能な枠組みを考案し、クリニカルパスの形で運用し検討した。多職種連携が強調されるが、これは多職種が一緒に仕事をすることが重要なのではなく、目標を共有することが最も重要であることがフレーム構造からも明らかになった。病院前→医療機関→消防署(病院前)→、と情報を循環させることにより質向上が図れることが明らかになった。次に、現在までの集積データをパッケージ化して、救急医療研修が必須化された初期研修医教育に使用したところ、理解・記載が一定レベルに達するまでの期間が短縮した。専門性によらない共通言語をもつこと、フレームワークの可視化は質向上のみならず医療安全管理の観点からも、さらに他職種に向けて応用・還元が可能と考えられた。
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Research Products
(30 results)