2008 Fiscal Year Annual Research Report
硝酸薬の血管拡張作用に及ぼすALDH2遺伝子多型の影響に関する薬理遺伝学的研究
Project/Area Number |
20390160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹栗 俊之 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (30261209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 宜一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (60346773)
高橋 富美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50274436)
松村 潔 九州大学, 大学病院, 助教 (70285469)
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Keywords | 薬理遺伝学 / 遺伝子多型 / 2型アルデヒド脱水素酵素 / 硝酸薬 / ニトログリセリン / 硝酸イソソルビド / 狭心症 / 血管拡張 |
Research Abstract |
ニトログリセリン(GTN)は、狭心症発作の第一選択薬として古くから用いられてきたが、薬効には個人差がかなりある。しかし、GTNの薬効の遺伝的差異については、あまり検討されてこなかった。最近、GTNからNOを遊離させる主な酵素は2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)であることが示唆されている。日本人はALDH2の多型頻度が極めて高いため、これが正しいなら大きな問題である。すなわち、GTNの作用はALDH2の多型によりどれほど異なるのか、またALDH2の活性に薬効が左右されないとされる二硝酸イソソルビド(ISDN)はALDH2の多型に影響されないGTNの代替薬となりうるかどうかを明らかにし、ALDH2多型を考慮した硝酸薬選択のエビデンスを築く必要がある。 平成20年度は、当研究室が保有しているDNAサンプル(遺伝子解析に関するインフォームド・コンセントを取得している既存試料)について、ALDH2の遺伝子多型解析を行った。ALDH2の多型として、野生型(^*1:Glu^<487>)と低活性型(^*2:Lys^<487>)の2種類のアレルが報告されているが、解析した210名については、^*1/^*1が125名(59.5%)、^*1/^*2が73名(34.8%)、^*2/^*2が12名(5.7%)であった。これは、すでに報告されている日本人の多形頻度とほぼ一致していた。 また、来年度より開始する予定の薬効試験(GTNとISDNの血管拡張反応を測定する試験)のため、臨床試験プロトコールを作成し、九州大学病院臨床試験審査委員会の審査を受け、研究実施の承認を得た。承認後、UMIN-CTRデータベースへの登録を行った(試験ID:UMIN000001492)。
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Research Products
(11 results)