2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍における治療選択検査と分子標的治療の開発:プリン代謝酵素欠損モデル
Project/Area Number |
20390166
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
登 勉 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60106995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80237304)
高尾 仁二 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30263007)
白石 泰三 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30162762)
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Keywords | MTAP / 抗ヒトMTAPモノクローナル抗体 / FACS解析 / 急性Tリンパ性白血 |
Research Abstract |
悪性腫瘍にも個性があり、同じ病名であっても遺伝子レベルでは微妙に違っていることが明らかになってきた。本研究課題においては、癌に特有な変化(欠失)を示す遺伝子Methylthioadenosine Phosphorylase(MTAP)を標的にした化学療法の開発を最終目的としている。 最終年度は、昨年度に続いて、MTAP(-)A549細胞とMTAP(+)A549細胞を脱メチル化剤で4日間処理した後にメチル化剤無添加培養液に移し、これら二つの細胞ではメチル化がどのように変化するかを検討した。TKTL1遺伝子は脱メチル化処理しない状態ではメチル化されているので発現が認められないが、脱メチル化剤処理で発現が亢進することが確認されている。そこで、脱メチル化剤でTKTL1遺伝子発現を誘導し、その後脱メチル化剤を除去して脱メチル化剤処理に影響されないGAPDH遺伝子との発現量の比(TKTL1/GAPDH比)を経時的に観察した。MTAP(+)細胞に比べ、メチル基ドナーであるS-adenosylmethionine(SAM)が増加するMTAP(-)細胞ではTKTL1/GAPDH比比が低下した。このことは、MTAP陰性細胞ではメチル化が促進されていることを示しており、発がん機構におけるメチル化とMTAP欠損の関係を示唆すると考えられる。 MTAP欠損が高頻度に認められる急性Tリンパ性白血病でのMTAP酵素欠損を効率よく診断するための方法を検討し、抗ヒトMTAPモノクローナル抗体を用いたFACS解析法を開発した。MTAPタンパクは細胞内に局在するため、細胞膜透過剤による処理が解析の成否を左右する。様々な解析条件を検討し、最適な条件設定に成功した。この条件を用いることにより、培養白血病細胞株によるMTAPタンパクの解析となり、MTAP陽性白血病細胞と陰性白血病細胞を診断することができた。この方法は臨床検体に応用可能であり、白血病患者末梢血を用いてMTAPタンパクの発現を診断できる。今後の検討を要するが、治療モニタリングのマーカーと成り得るので、臨床上重要な成果である。
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Research Products
(20 results)