2010 Fiscal Year Annual Research Report
容器・包装品から溶出する化学物質の毒性メカニズムの解明と安全基準策定に関する研究
Project/Area Number |
20390171
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正巳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30241871)
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Keywords | スチレントリマー / AAhR / CYP1A1 / UGT / 3-メチルコラントレン / Hepa-1c1c7 / luciferase活性 / MCF-7 |
Research Abstract |
AhRはDioxin Receptorとも呼ばれ、3-methylcholanthrene(3MC)のようなpolycychc aromatic hydrocarbon(PAH)やTCDDなどのダイオキシン類などのリガンドにより活性化し、CYP1A1を始めとするcytochrome P450やUGT等の誘導を惹起する。これまでの研究において、スチレントリマー(ST-1)がAhRの転写活性化をを抑制することが判明した。そこで、マウス肝臓がん由来の細胞株であるHepa-1c1c7を用いてSnを2時間刺激し、AhR誘導実験を行った。ST1には4,8時間後弱いCYP1A1の誘導活性、AhRの結合配列であるDRE依存的なluciferase活性が確認されたが、その後減弱し、12時間後にはコントロールレベルに戻っていた。またヒトの肝芽腫由来であるHepG2、ヒトの乳がん由来であるMCF_7においても同様にST1によるCYP1A1の誘導が確認された。一方ST-1の単量体であるStyreneによる刺激ではCYP1A1の誘導は見られなかった。また、2時間ST-1にて前処置後刺激した後に3MCで処置した場合、微弱ではあるがAhRのCYP1A1の誘導能を亢進することがわかった。この経路がAhR依存的なものであるかを評価するためにStealth RNAiを用いてknockdownを行ったところ、AhR依存的にCYP1A1の誘導が減弱することが確認された。このことから、ST-1にはAhRを介してCYP1A1を誘導することが示唆された。しかし一方で長時間予めST-1で処置した後に3-MCにて刺激した場合、CYP1A1の発現量がコントロールに比べて減少した。また、ST-1にて長時間刺激後にAhRのタンパク量を評価したところ、コントロールに比べて減少することが確認された。以上のことから一つの可能性として、ST-1はAhRを一過性には活性化するが、その後AhRのタンパク量を減少させることで結果的にAhRの全体としての活性を低下させると考えられる。そのためST-1投与群マウスにおいてAhRによる転写産物であるUGTの発現量を減少させ、血清FreeのT_4レベルが上昇したと考えられる。
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