2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の化学形態別摂取による発癌リスク評価-新規発癌機序を含めた学際的アプローチ
Project/Area Number |
20390173
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
圓藤 吟史 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
藤谷 登 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (10156888)
圓藤 陽子 大阪大学, 理工学研究科, 特任教授 (50193438)
立川 眞理子 日本大学, 薬学部, 准教授 (90139098)
畑 明寿 千葉科学大学, 危機管理学部, 助手 (10433690)
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Keywords | ヒ素 / 環境汚染 / 食品安全 / 発癌 / リスク / 細胞周期 / ジメチルアルシン酸 |
Research Abstract |
1.バングラデシュ地下水ヒ素汚染地域住民332名の尿中ヒ素をHPLC-ICP-MS分析した結果、中央値は、亜ヒ酸(AsIII)が16.8、ヒ酸(AsV)が1.8、モノメチルアルソン酸(MMA)が13.7、ジメチルアルシン酸(DMA)が88.6、その他が0.1、総ヒ素が126.7(μgAs/L)で、アルセノベタイン、アルセノコリンは検出されなかった。x=iAs=AsIII+Asv、y=iAs+MMA+DMAとすると、log y=1.040log x-0.662(R=0.962)と良い相関を示し、iAs+MMAが職業性ヒ素曝露バイオモニタリングに利用できる可能性が示唆された。 2.ヒジキ製品中に含まれる総ヒ素量は37-119μg As/g dry weight、無機ヒ素含量は21-59%と製品により相違が見られた。6種類のアルセノシュガー(254、328、391、392、408、482)がHPLC-MS/MSにより検出された。ヒジキの製法により製品中のアルセノシュガーの化学形態および含有量に相違が見られた。 3.V79細胞において、DMAの還元体であるジメチルアルシナス酸(DMAIII)は、1.25μMで四倍体、多核細胞を誘導し、2.5μMで細胞周期をかく乱した。5μMで分裂中期細胞は観察されなかった。ローダミン-ファロイジン染色すると分裂細胞のアクチンの異常分布が観察された。これらのことからDMAIIIは正常細胞分裂期スピンドルの形成阻害のみならず、細胞質分裂を阻害し、多核細胞を誘導することが明らかになった。 4.海産物を多食する日本人には、DMAが多く検出されるので、ヒ素およびヒ素化合物取り扱い業務における特殊健康診断項目として、尿中のAsIII、AsV、MMAの測定を提案し、採用された。
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Research Products
(13 results)