2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の化学形態別摂取による発癌リスク評価-新規発癌機序を含めた学際的アプローチ
Project/Area Number |
20390173
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
圓藤 吟史 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
藤谷 登 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (10156888)
圓藤 陽子 千葉科学大学, 危機管理学部, 非常勤講師 (50193438)
立川 真理子 日本大学, 薬学部, 准教授 (90139098)
畑 明寿 千葉科学大学, 危機管理学部, 助手 (10433690)
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Keywords | ヒ素 / 環堵汚染 / 食品安全 / 発癌 / リスク / 毒性 / ジメチルアルシン酸 |
Research Abstract |
1. HPLC-ICP-MS分析から市販ヒジキ製品中の総ヒ素量は37-119μg As/g dry weight、そのうち無機ヒ素量は25-60%であることが明らかになり、製品lotによる相違が見られた。6種類のアルセノシュガー(分子量254、328、391、392、408、482)がHPLC-MS/MSにより検出され、特に分子量254は今まで報告されていない新規アルセノシュガーであり、本形態別分析法であるHPLC-ICP-MSならびにHPLC-MS/MSを組み合わせた方法は高感度ヒ素形態分析として有用であることを提案した。さらに、ヒジキ産地ならびに製品化工程に基づいたヒ素含量の低減化策を見いだし、ヒ素発癌リスクを回避(低減)する方法も提案した。 2. 無機ヒ素から代謝生成するジメチルヒ素のうち、ヒ素原子の酸化状態の相違により毒性発現様式ならびに血球内動態に著しい相違があることを見いだした。 3. ジメチルアルシン酸の還元体(DMAIII)はV79細胞において4倍体と多核の形成を強く誘導した。また、異常アクチンがDMAIII処理した分裂細胞のローダミン-ファロイジン染色で観察された。これらのことからDMAIIIは正常の紡錘体形成を阻害するだけでなく、細胞質分裂を阻害し、多核細胞の形成を誘導することが示唆された。 4. 職業性ヒ素曝露のない日本在住の男性172名の尿をHPLC-ICP-MSで測定した。Dionex IonPac AS22の陰イオンカラムを用いることによりヒ素化合物を精度よく迅速に分析できた。試料のヒ酸と亜ヒ酸、モノメチルアルソン酸(MMA)の95パーセンタイルはそれぞれ1.7、5.4、6.2μg/lであった。ヒ酸と亜ヒ酸、MMAの和の95パーセンタイル値である12.6μg/lを職業性曝露指標のバックグランド値に用いることを提案する。
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Research Products
(11 results)