2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素中毒の予防と根絶を目的とする無機ヒ素の無毒化に関する研究
Project/Area Number |
20390174
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山内 博 Kitasato University, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 教授 (70150498)
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (30321897)
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Keywords | ヒ素 / 無毒化 / メチル化 / 廃棄処理技術 / ビタミンB12 / 細胞毒性試験 / 酸化的DNA損傷 / 人工的化学合成 |
Research Abstract |
現在、アジアと中南米諸国を中心として、潜在的な患者を含めると約8000万人の慢性ヒ素中毒患者が存在し、当該問題の解決に国際機関や研究者、支援団体等の活動がなされている。 本研究では無機ヒ素のメチル化に天然のヒ素メチル基転移酵素を応用する、無毒化処理システムを我が国が独自に考案した。この手法を社会に汎用させ、無機ヒ素による健康被害の防止や軽減に貢献できる新規の手法・技術の獲得と検証研究を目的とした。 被験試料は合成アルセノベタイン(AsB)と三酸化ヒ素を用いた。細胞はHeLa(ヒト子宮頸がん)とHL-60(ヒト急性前骨髄性白血病細胞)を用い、マルチプレートまたは培養フラスコで24時間前培養し、三酸化ヒ素および佃を添加した。細胞毒性はCell counting kit-8 (CCK-8)を用い、吸光度を測定することにより求めた。アポトーシス誘発頻度はグルタルアルデヒドで固定後ヘキスト33342にて染色し、クロマチン凝縮した細胞を計数し求めた。DNAラダーの検出はアガロースゲル電気泳動法にて行った。三酸化ヒ素にビタミンB_<12>を作用させ合成したAsBの細胞毒性試験を包括的に実施した。2種類の細胞から得られた結果に差異は認められず類似していた。CCK-8で測定した細胞生存率は、三酸化ヒ素に比較してAsBは明確に減毒されており、さらに、無作用の対照群細胞と相違は示されなかった。三酸化ヒ素にアポトーシス細胞の発現は認めるが、AsBにこの現象は観察されなかった。 他方、中国内蒙古自治区の慢性ヒ素中毒発生地域に存在する井戸水を用いて、井戸水中無機ヒ素の無毒化処理を検討した結果、この無機ヒ素をAsBに変換することを可能とし、この技術は、将来の慢性ヒ素中毒の予防対策や改善に重要な技術となると確信した。
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Research Products
(6 results)