2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本と中国における自動車排出ガスの健康影響の国際比較に関する疫学研究
Project/Area Number |
20390177
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 憲治 独立行政法人国立国境研究所, 環境健康研究領域, 室長 (10179898)
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Keywords | 自動車排出ガス / 粒子状物質 / 炭素成分 / オゾン / 肺機能 / 中国 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
日本と中国の都市部においては近年自動車交通量が増加し、それに伴う大気汚染が住民の健康に及ぼす影響が懸念されている。本研究では、日本と中国の都市部において、自動車排出ガス等による大気汚染物質への曝露実態とそれによる呼吸器系への影響を検討した。中国では湖北省武漢市の大学生40名を対象に、4月(春季)及び7月(夏季)に約2週間ずつ最大呼気流量(PEF)と1秒量(FEV1)の自己測定を1日2回繰り返して実施してもらった。その期間中に対象者が居住している大学構内の2カ所の学生寮で、それぞれの室内・室外の粒子状物質(粒径2.5μm以下のPM2.5および粒径2.5~10μmのPM10-2.5)を24時間単位で捕集し、質量濃度、炭素成分濃度を分析した。両地点の屋外のPM2.5及びPM10-2.5濃度は、春季、夏季ともにほぼ同等であり、近隣の測定局における濃度ともよく対応していた。PM2.5濃度の平均は春季80.1μg/m3、夏季54.5μg/m3、PM10-2.5濃度の平均はそれぞれ76.4μg/m3、34.2μg/m3であり、いずれも夏季の方が低かった。平成21年度の秋季、冬季の測定結果との比較では、PM2.5濃度は冬季が最も高く、秋季、春季、夏季の順であり、PM10-2.5濃度は冬季、春季、秋季、夏季の順であった。粒子中の炭素分析の割合は、PM2.5の方がPM10-2.5よりも大きかった。炭素成分濃度は冬季に高かったが、粒子濃度当りでは季節による差はみられなかった。 肺機能検査の1人当たりの平均実施回数は、男子では朝54.7回、夜55.0回、女子では朝56.6回、夜59.3回であり、全期間を通じての平均±標準偏差は、男子のPEFは朝579.8±99.3L/min、夜582.6±95.6L/min、FEV1は朝3.58±0.64L、夜3.57±0.64Lであり、女子のPEFは朝377.7±54.1L/min、夜381.6±51.1L/min、FEV1は朝2.43±0.37L、夜2.45±0.39Lであった。女子では、秋季にPM10濃度が増加すると夜のFEVI値が低下するという有意な負の関連が認められたが、その他の季節には大気中粒子状物質濃度と肺機能値との関連は認められなかった。
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Research Products
(20 results)