2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本と中国における自動車排出ガスの健康影響の国際比較に関する疫学研究
Project/Area Number |
20390177
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 憲治 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 室長 (10179898)
|
Keywords | 自動車排出ガス / 粒子状物質 / 炭素成分 / オゾン / 肺機能 / 中国 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
日本と中国の都市部では近年自動車交通量が増加し、それに伴う大気汚染の健康影響が懸念されている。本研究では、日本と中国において、自動車排出ガス等による大気汚染物質への曝露実態とそれによる呼吸器系への影響を検討した。中国では湖北省武漢市の大学生37名を対象に、各季節にそれぞれ約2週間ずつ、毎日朝と夜の1日2回、最大呼気流量と1秒量の自己測定を繰り返して実施してもらった。対象者が居住する学生寮の室内・室外の粒子状物質(粒径2.5μm以下のPM2.5および粒径2.5~10μmのPM10-2.5)を24時間単位で捕集し、質量濃度、有機炭素(OC)と元素状炭素(EC)濃度を分析した。PM2.5及びPM10-2.5濃度は冬季が高く、夏季が低かった。屋内外のPM2.5濃度には強い相関があったが(季節別でr=0.87~0.99)、PM10-2.5ではばらついていた(r=0.58~0.96)。炭素分析結果では、PM2.5の方がPM10-2.5よりもEC、OCの割合が多かった。炭素成分濃度は冬季に高かったが、粒子濃度当たりでは季節による差はなかった。肺機能との関連は、女子では秋にPM10濃度が増加すると夜のFEV1値、冬にNO2濃度が増加すると朝のPEF値がそれぞれ低下するという有意な負の関連が認められた。しかし、春、夏の肺機能値は大気汚染濃度との関連が有意ではなく、男子では年間を通じて肺機能値と大気汚染濃度との関連はみられなかった。日本では、東京都世田谷区と兵庫県西宮市に居住する大学生を対象に肺機能と大気汚染濃度との関連を検討した。朝のPEF値は夏のPM及びNO2、秋のOx濃度、夜のPEF値は冬のPM濃度との間に有意な負の関連が認められた。朝のFEV1値は秋のPM、NO2、Ox、冬のPM濃度、夜のFEV1値は秋のOx、冬のNO2濃度との間に有意な負の関連が観察された。全期を合わせた解析では、朝、夜のPEF値、FEV1値ともに大気汚染との関連は有意ではなかったが、アレルギー素因を有する者では、NO2濃度と朝のFEV1値、夜のPEF値との関連が有意であり、アレルギー素因を有する者ではNO2が呼吸器に短期的影響を与える可能性が示唆された。
|
Research Products
(14 results)