2010 Fiscal Year Annual Research Report
違法ドラッグの新分析法の開発:超高速型HPLCとTOF-MSとの結合
Project/Area Number |
20390194
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 修 浜松医科大学, 医学部, 理事 (70093044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権守 邦夫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10006744)
南方 かよ子 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (70115509)
渡部 加奈子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (70288546)
長谷川 弘太郎 浜松医科大学, 医学部, リサーチアシスタント (40574025)
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Keywords | 違法ドラッグ / 薬毒物分析 / 超高速型液体クロマトグラフィー / 法中毒学 / 社会医学 / 法医学 / 安全 / 安心 |
Research Abstract |
1. 超高速型HPLCとTOF-MSとの結合のメリットとデメリット 既設のTOF-MS装置に、今回の科学研究費で購入した超高速型HPLCを結合させ、まず手始めとして、きのこ毒の典型であるα-アマニチン、β-アマニチンならびにファロイジンを用いて、本法のメリットとデメリットを検証することができた。まずメリットとしては、TOF-MSは分解能10,000~12,000と高く、HPLC-single stage TOF-MSで得られるプロトン付加分子イオン部分の横軸を拡大すると、炭素原子のアイソトープピークによるプロトン付加分子の同位体ピークが4個程出現し、それぞれの精密質量数とピーク強度が一定の条件下では一定のパターンを示す。このパターンをsingle stage MSにもかかわらず、各物質固有のマススペクトルとして利用できることが判明した。 デメリットは、意外と検出感度が低かったことである。シグナル/ノイズ比が3とする検出限界は、α-アマニチン、β-アマニチン、ファロイジンでそれぞれ、30、30ならびに10ng/gと最新鋭のHPLC-MS装置としては低感度であった。 2. 違法ドラッグ類の超高速HPLC-TOF-MSによる分析開発研究 前回の実績報告書に記載したとおり、16種類の違法ドラッグを入手しているが、今回は報告の少ないトリプタミン系違法ドラッグ6種類に的を絞り、それぞれの化合物について、single stage TOF-MSとタンデムquadrupole-TOF-MSでのマススペクトルの測定を行った。対象薬物は4-OH-DIPT、5-MeO-AMT、5-MeO-DALT、5-MeO-DET、5-MeO-DPTならびに5-MeO-MIPTである。single stage TOF-MSのプロトン付加分子イオンでは5-MeO-AMTで2本、その他の5種類の物質では3本のアイソトープピークが出現し、理論値との誤差はいずれも5mDa以下であった。この事から、これらトリプタミン系違法ドラッグについても、プロトン付加分子イオン部分のアイソトープマススペクトルパターンが各物質の同定に利用できることが判明した。 タンデムquadrupole-TOF-MSでのマススペクトルでは、CID電圧の違いで、プロダクトイオンスペクトルパターンは変化するものの、定量に利用できる100Da以上のプロダクトイオンが出現し、特異性の高い定量を実現できる可能性を示した。
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