2008 Fiscal Year Annual Research Report
限界的血縁関係である第3度近親を識別する高多型縦列反復配列複合システムの構築
Project/Area Number |
20390195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉木 敬二 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (90217175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏充 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50260592)
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Keywords | 親子鑑定 / ミニサテライト / 第3度血縁 / MVR-PCR |
Research Abstract |
高多型縦列反復配列のひとつであるD1S8(MS32)を、アリル特異的MVR-PCRにてアリルの内部構造をマッピングして分析した。これまで、イギリス人やジンバブエの黒人などで、識別力が非常に高い反面、居住する集団において共通するリピート配列を有する場合があることが報告されていたが、今回はその類似性について、タイ人、中国人のアリルで分析し、日本人と比較した。MS32はタイ人や中国人においても膨大な多型性を示し、高い識別力を有することが示されただけでなく、そのアリル内に集団特異的といえるリピート配列が認められた。さらに、その類似性は、タイ人や中国人においては、欧米白人よりもアジア人において発表した。 また、第3度近親を扱う前段階として、同胞の血縁関係の検査における縦列反復の有用性について検討をおこなった。同胞は第1度近親であるが、問題となる2人の個人だけで、他に調査する対象がない場合には、平均4分の1の確率で全くアリルの共有がなく、血縁関係の言及ができない場合がある。我々は、現在鑑識捜査などで、世界中で用いられているマイクロサテライトの15ローカス検出キットの有用性について、2万例の同胞ペアをシミュレーションで作成して検討したが、約16%の例で同胞と肯定できない尤度比を示した。参照する同胞の数を増やしたところ、尤度比は向上し、ほぼ間違いなく決定できた。実際の身元不明死体21例の身元確認のために、同胞検査を応用したところ、1例においては、明らかに同胞関係が否定されたが、残りの事例では高い値を示した。 今後は他のミニサテライトローカスでの検討や、第3度近親における尤度比の遺伝マーカーによる変化の法数学的検討を行う予定である。
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