2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール性急死における自然免疫系破綻のトランスクリプトミクス
Project/Area Number |
20390196
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松本 博志 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (60263092)
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Keywords | アルコール / 急死 / 自然免疫 / トランスクリプトミクス |
Research Abstract |
私たちは、先行研究でtoll-like receptor(TLR)を介する自然免疫系シグナリング系を撹乱させた状態でアルコールを投与すると突然死を来すのではないかという仮説を立てて、ラットに対して比較的低容量のLPSを投与した1日後にアルコールを投与したところ、生存曲線が有意に低下することを見いだした。したがって、TLRを介するシグナルが死因に影響を及ぼしていることが考えられるが、今のところ報告はない。そこで、このモデルを使用してTLRシグナリング領域を中心としてトランスクリプトーム解析を行って、その転写制御系を明らかにするとともにプロテオミクス解析により主たるタンパクから分子機構を明らかにすることをこの研究の目的とした。さらに同様に急死する脳挫傷モデル、大腿骨頭壊死モデルにおいても同様の検討を行った。LPS投与後アルコールを投与した後経時的に検討したところ、炎症性サイトカインの応答が低いものが死亡する傾向が認められた。現在ノックアウトマウスを使用した解析を進めている。また、脳挫傷モデルにおいては、アルコール投与後脳浮腫が増大し死亡に至ることを明らかにしてその機序に酸化的ストレスが関与することを示した。さらにグルタチオン枯渇剤を投与した場合においても同様の機序を示すことから酸化的ストレスを介する応答が重要であることを見出した。また大腿骨頭壊死モデルにおいては自然免疫機構が重要な役割を果たしていることを見出したが、特に転写制御因子NF-kappaBではなくIRF3を介する系が関与している可能性を見出している。現在、さらなる検討を加えている。
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