2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター胃炎形成におけるパイエル板を介した宿主免疫応答とその制御機構の解析
Project/Area Number |
20390207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡部 則彦 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50419446)
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Keywords | 内科学 / 免疫学 / 細胞・組織 / 生体分子 / 感染症 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリ感染における宿主免疫応答と胃炎形成機構の解明を目指して,ヘリコバクター・ピロリ感染慢性胃炎マウスモデルでの免疫学的、組織学的解析を行った。ヘリコバクター・ピロリ感染モデルマウスにて、胃粘膜上皮にPD1のリガンドであるPDL1の発現が増強することを明らかにした。そして、ヘリコバクター・ピロリ感染による濾胞性胃炎モデルマウスでは、PDL1の発現増強によりPD-1を介するシグナルが活性化されることにより、Th1有意な慢性萎縮性胃炎の病態が抑制され、ヘリコバクター感染による濾胞性胃炎形成のトリガーとなっている可能性を見いだした。また一方で、胃粘膜上皮細胞に直接的に作用するヘリコバクター・ピロリが持つ病原因子CagAが、宿主の生体内でのヘリコバクター・ピロリに対する宿主免疫応答にどのような影響を与えるのか解析を行った。リンパ球を欠損したRAG2遺伝子欠損マウスへの細胞移入の系を用いたヘリコバクター・ピロリ慢性胃炎モデルにて、CagA^+ヘリコバクター・ピロリとCagA^-ヘリコバクター・ピロリを比較し検証した。そして、ヘリコバクター・ピロリ感染でプライミングされたT細胞の胃粘膜への移行には、胃粘膜にCagAが存在することが必要であるが、CagA^+ヘリコバクター・ピロリによるT細胞プライミングでは、Th1有意な慢性胃炎惹起性CD4T細胞の分化誘導とともに、抑制性のFoxP3陽性CD4T細胞の分化誘導も生じ、慢性萎縮性胃炎形成に対してCagAの存在が抑制的にも働いていることを見いだした。
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