2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌におけるNKレセプターとそのリガンドの発現制御機構の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
20390208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20397699)
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Keywords | 肝癌 / MIC / NKG2D / ADAM / NK細胞 / sorafenib |
Research Abstract |
肝細胞癌はNK細胞のNKG2D活性化レセプターに対するリガンドであるMHC class I-related chain A(MICA)を発現している。MICAは不明の機序により肝癌から血液中に可溶型分子として分泌され、NKG2Dのダウンレギュレーションを引き起こす。このようにMICAの細胞膜上での切断は肝癌の免疫監視機構からの逃避に繋がる分子イベントである。昨年度、このMICAの分泌にadisintegrin and metalloproteinase(ADAM)ファミリーのADAM10が関与していることを明らかにした。本年度はMICA分泌におけるADAM9の関与について検討を行った。ADAM9はin vitroにおいてMICAの切断活性を有していた。ADAM9はヒト肝癌組織、肝癌細胞株で発現がみられた。肝癌細胞株に発現しているADAM9をsiRNAによりノックダウンすると、細胞膜上のMICA発現が充進し、培養上清中の可溶型MICAが低下した。肝癌治療に用いられる分子標的治療薬であるsorafenibは肝癌細胞株のADAM9発現を転写レベルで抑制し、これによりMICAの分泌を低下させた。肝癌細胞株をsorafenibたて処理するとNK細胞による細胞傷害活性が亢進した。この細胞傷害活性はMICAの中和抗体により消失した。以上の検討により、肝癌からのMICAの分泌にADAM9が重要な役割を持っていることが明らかとなった。SorafenibはADAM9の発現低下を介して、MICA/NKG2D経路による免疫認識を改善する可能性が示唆された。
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