2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症を基盤とした未分化型胃癌のエピジェネティクス解析と発癌リスク予測
Project/Area Number |
20390210
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
篠村 恭久 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (90162619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20381254)
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Keywords | 遺伝子診断 / 遺伝子変異 / メチル化 / 前癌病変 / H. pylori |
Research Abstract |
本研究では、慢性胃炎におけるゲノムワイドなメチル化レベルを解析し、DNAメチル化の発癌リスク予測の分子マーカーとしての有用性について検討することを目的とする。これまで、LINE-1メチル化レベルはHP非感染(HP-)、HP感染・皺壁肥大陰性(HP+/EF-)、HP感染・皺襞肥大(HP+/EF+)で低下すること、CDH1、CDH13、PGP9.5メチル化レベルはHP-と比べHP+/EF-で上昇すること、HP+/EF-とHP+/EF+ではCDH1のみが上昇することを報告してきた。本年度は、胃癌におけるLINE-1のメチル化レベルを解析し、遺伝子変異との関連を解析した。胃癌におけるLINE1メチル化は平均53%で慢性胃炎に比べ低下し(P<0.01)、LINE-1低メチル化を認める症例でp53変異を高率に認めた(P<0.01)。また、前庭部胃炎と体部胃炎におけるDNAメチル化を網羅的に解析するため、Methylated CpG island amplification-microarray (MCAM)法によりメチル化を解析し、メチル化レベルによってクラスタリング解析を行った。その結果、胃体部に及ぶ汎発性胃炎においてゲノムワイドな異常メチル化が生じていた。これらの結果から慢性胃炎でLINE-1低メチル化、CDH1、CDH13、PGP9.5の異常メチル化を認め、発癌過程においてはゲノム全体の低メチル化と関連して遺伝子プロモーターの高メチル化が同時に起こること、胃体部に炎症がおよぶ汎発性胃炎において、ゲノムワイドなメチル化異常を認めることが明らかとなった。今後、高メチル化を示す症例をフォローアップし、慢性胃炎におけるDNAメチル化が発癌リスクを予測するための分子マーカーとして有用であるか検討する予定である。また、癌におけるゲノムワイドな低メチル化は、クロマチン構造の異常を引き起こし、染色体不安定性を誘導すると考えられており、LINE-1メチル化レベルは癌の悪性度予測に有用であると考えられた。
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Research Products
(18 results)