2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症を基盤とした未分化型胃癌のエピジェネティクス解析と発癌リスク予測
Project/Area Number |
20390210
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20381254)
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Keywords | 遺伝子診断 / 遺伝子変異 / メチル化 / 前癌病変 / H.pylori |
Research Abstract |
本研究では、H.pyloriにより誘発される皺襞肥大型胃炎や汎発生胃炎を基盤として発症する、未分化型胃癌におけるDNAメチル化の意義を明らかにし、胃癌発生のリスク予測可能な分子マーカーを同定することを目的とした。健常人8例、汎発生胃炎10例、未分化型胃癌10例の癌部および非癌部からDNAを抽出し、メチル化DNAをMethylated CpG island Amplification(MCA)法によって増幅したのち、CpGアイランドアレイで網羅的に解析した。アレイによって同定した遺伝子のメチル化を、バイサルファイトパイロシークエンス法にて検証した。その結果、WNT5、SOX5、GALNT14などのCpGアイランドが胃癌において高頻度にメチル化していることを見いだした。さらに我々は、未分化型胃癌において高頻度にメチル化している新規メチル化遺伝子Xを同定した。胃癌細胞株において遺伝子XのCpGアイランドメチル化は発現と有意に逆相関した。遺伝子Xのメチル化はH.pylori陰性の健常人ではごく軽度だが、未分化型胃癌および胃癌の背景胃粘膜において高度にメチル化していた。遺伝子XはRasシグナル経路に関与する事が以前より示唆されていることから、発現ベクターを構築し胃癌細胞に導入したところ、細胞増殖を高度に抑制した。これらの結果から遺伝子Xは新規胃癌関連遺伝子であり、そのメチル化は胃癌診断の新たなバイオマーカーとなりうる事が示された。
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Research Products
(5 results)