2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質架橋酵素トランスグルタミナーゼを標的とした肝疾患の治療予防に関する基礎研究
Project/Area Number |
20390215
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小嶋 聡一 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子リガンド生物研究チーム, チームリーダー (10202061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 寛二 京都府立医科大学, 医学部付属病院, 研究員 (50381950)
小瀬 真吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / Sp1 / 架橋反応 / c-Met / アポトーシス / 線維化 / アルコール性肝炎 / 脂肪性肝炎 |
Research Abstract |
マウスアルコール肝炎(ASH)モデル、並びにマウス非アルコール肝炎(NASH)モデル(コリン欠乏過脂肪食モデル)の障害肝について、生化学的解析、組織免疫学的解析を行ない、肝障害時のトランスグルタミナーゼの核での発現増大、架橋Sp1生成の増大を確認した。トランスグルタミナーゼの発現を強力に抑えるshRNAレンチウイルスベクターを作製した。アルコール肝障害によるトランスグルタミナーゼの発現上昇は、アセトアルデヒドを介しており、酸化ストレス、小胞体ストレス、NF-κB活性化が関与していることを示唆する結果を得た。ランスグルタミナーゼを構成する4つのドメインのGFP融合タンパク質を作製し、in vitro核移行測定を行った結果、3つ目のβバレルドメイン1に核内移行シグナルが存在し、ATP依存的核移行を担っていることがわかった。現在この核輸送に関わるインポーチンβファミリー分子の同定を試みている。架橋Sp1生成によるc-Met発現低下が肝線維化と関係していることを示唆する免疫染色の結果を得た。その際、線維化領域ではTG2の発現が見られないこと、TG2K0マウスでは、胆管結紮線維化モデル及び脂肪性肝炎モデルにおいて、野生型マウスと比べて線維化の程度に有為な差が見られなかったことから、TG2以外のトランスグルタミナーゼファミリーが架橋Sp1生成を伴う線維化形成に働いている可能性が示唆された。アルコール肝疾患の患者肝臓において、トランスグルタミナーゼの核での発現増大、架橋Sp1生成量の増大、線維化の促進を認めた。
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