2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質架橋酵素トランスグルタミナーゼを標的とした肝疾患の治療予防に関する基礎研究
Project/Area Number |
20390215
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小嶋 聡一 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子リガンド生物研究チーム, チームリーダー (10202061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 寛二 京都府立医科大学, 医学部付属病院, 研究員 (50381950)
小瀬 真吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / Sp1 / 架橋反応 / c-Met / アポトーシス / 線維化 / マウスアルコール肝炎(ASH) / 非アルコール肝炎(NASH) |
Research Abstract |
アルコール肝炎での報告に続き、非アルコール肝炎マウスモデル・患者でも、トランスグルタミナーゼ(TG2)の核局在、転写因子Sp1架橋不活性化が起こることを確認、TG2産生促進に至る分子機構を検討した。遊離脂肪酸→小胞体ストレス,NF-κB活性化→TG2転写活性化、核局在が起こることがわかった。TG2のCドメインを介するATP依存的な核移行に関係する分子の同定を試みた。7種類の精製キャリアタンパク質の影響を調べたが、どれもハッキリした関与を示さず、どれでも弱い核移行が観察された。核と細胞質のTG2の分子量を調べたところ、細胞質では92kDであるのに対して、核では78kDであることが分かった。この差はDドメインの分子量に相当する。Dドメインには、GTPase活性部位が存在し、昨年度の本研究で、核外移行シグナルの存在が示唆されている。また、TG2が核に局在しているときに、レプトマイシンBの標的であるexportin1の発現量低下を観察した。これらの結果から、これまで、TG2は、細胞障害刺激によって細胞質から核へ移行が高まり核に局在すると予想していたが、実はそうではなく、TG2は、通常一部がCドメインを介して核内移行、Dドメインを介して核外移行、すなわち細胞質-核間をシャトリングしており、細胞障害刺激を受けると、核外移行シグナルを有するDドメインが切り取られるために、A-Cドメインからなる78kDのGTPase活性を持たない架橋酵素型TG2が核に残る、すなわち局在し、Sp1を架橋することでproapoptoticに働くことが示唆された。Sp1の架橋不活性化の結果起こるc-Metの発現低下により線維化が引き起こされる可能性が示唆された。理研NPDepoから核内TG2活性を阻害する14化合物を検索した。
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Research Products
(6 results)