2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質架橋酵素トランスグルタミナーゼを標的とした肝疾患の治療予防に関する基礎研究
Project/Area Number |
20390215
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小嶋 聡一 独立行政法人理化学研究所, 分子リガンド生物研究チーム, チームリーダー (10202061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀬 真吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / Sp1 / 架橋反応 / c-Met / アポトーシス / 線維化 / マウスアルコール肝炎(ASH) / 非アルコール肝炎(NASH) |
Research Abstract |
1 肝障害によるトランスグルタミナーゼ(TG2)発現上昇・核局在誘導機構の解明:新しい概念として、TG2は通常一部がCドメインを介してATP並びにインポーチンβ依存的な核内移行、Dドメインを介して核外移行、すなわち細胞質-核間をシャトリングしており、細胞障害刺激を受けると、核外輸送因子であるエクスポーチンの発現低下を介した核外輸送活性の低下が見られる結果核に局在することを見出した。 2 トランスグルタミナーゼによる肝星細胞活性化促進の証明:ASH患者肝切片の線維化領域の免疫染色解析により実質領域のみならず、線維化領域においても核TG2や架橋Sp1の生成を確認し、"肝障害→核TG2→Sp1架橋不活性化→c-Met発現減少→TGF-β発現亢進→肝星細胞活性化→肝線維化"という新しい肝線維化の分子機序を示した。 3 肝疾患患者検体における実証:ASHやNASH患者肝臓に加えて、新、肝癌の2次発がん抑制の目的で新規抗がん剤候補である非環式レチノイドの投与を受けた患者肝臓中の肝癌幹細胞においても、核TG2や架橋Sp1の生成を確認し、障害を受けた正常肝細胞に加えて、抗癌剤投与を受け肝細胞癌がアポトーシスを起こす際も、同様のTG2依存アポトーシス機構が働いていることを明らかにした。 4 トランスグルタミナーゼ依存肝細胞死の制御機構解析:理化学研究所の天然化合物バンクの6,720化合物を用いたスクリーニング研究から肝細胞核内TG2の核局在を阻害することにより核TG2の活性を特異的に抑制する化合物を1つ見つけることができた。
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