2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390217
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩島 一朗 Chiba University, 大学院・医学研究院, 客員准教授 (90376377)
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Keywords | Akt / 糖代謝 / 脂肪酸代謝 / 心不全 |
Research Abstract |
本研究の目的はAktによる「糖脂質代謝調節を介した」心機能制御のメカニズムを解明し,心不全の新たな治療戦略を開発することである.平成21年度はAktシグナルによる心筋代謝調節機構の詳細を明らかにすることを主な目的として研究を行った. 1)Akt活性化がエネルギー(ATP)産生機能に及ぼす影響 サポニン処理心筋ファイバーを用いてミトコンドリアの酸素消費量・ATP産生量の測定を試みたが,確定的な結果が得られていない.測定手技を改善して再度測定を試みる予定である. 2)Akt活性化がエネルギー産生に関与する代謝経路に及ぼす影響 脂肪酸代謝酵素の転写制御因子であるPPAR-α, PGC-1α, PGC-1β,ERRαについてqRT-PCRで検討したところ,PPAR-α,PGC-1α, PGC-1βについては短期間のAkt活性化および長期間のAkt活性化いずれにおいてもその発現量の低下が認められた.ERRαの発現量には有意な変化は認められなかった.一方,電子伝達系酵素の転写調節因子であるTfam, NRFI, NRF2については, Akt活性化によってもその発現量に有意な変化は認められなかった. 以上の結果はAkt活性化により脂肪酸代謝酵素の発現が低下し,相対的に糖代謝を介したATP産生量が増加することが心機能改善につながることを示唆するものと考えられた.今後はこの代謝調節経路におけるAktのリン酸化標的因子を同定することが重要になってくるものと思われる.
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