2008 Fiscal Year Annual Research Report
心血管疾患におけるエピジェネクティクス制御の解析とそれを標的とした新しい治療法の開発
Project/Area Number |
20390219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 亨 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任准教授 (90359620)
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Keywords | エピジェネティクス / プロテオミクス / 転写因子 / 循環器 / 心血管疾患 / クロマチン転写 |
Research Abstract |
ヒトゲノムの解読が終了した現在、遺伝子機能ないし細胞形質の制御機構に研究の焦点が移り、エピジェネティクス研究、特にヌクレオソームやクロマチンといった真核生物に特有なDNAの高次構造の調節に関わる諸反応(転写、複製、修復等)の制御の解明が注目されている。エピジェネティクスは種々の細胞刺激・ストレスにより後天的にもたらされる制御のため、心血管疾患を代表とする生活習慣病を始めとする病態の発症機序の鍵となると考えられている。このように生命現象において極めて重要な役割を果たすエピジェネティクスの時空間的な制御を理解するためには、DNA高次構造の制御を中心とした蛋白質の包括的な解析が必要である。本計画では、心血管領域の病態発症におけるエピジェネティクス制御、すなわちクロマチン転写制御、さらにDNA修復の制御機構を明らかにし、創薬の糸口にしたいと考えている。 平成20年度は、エピジェネティクス解析による心血管領域におけるクロマチン転写の解析の端緒となる解析を行った。まず始めにそのモデルケースとして心血管リモデリングを制御する転写因子Kruppel-like factor5(KLF5)を中心に、クロマチン制御因子の作用機序ならびに機能的な意義をクロマチン、細胞、動物(マウス)レベルで解析した。その結果、KLF5は血管障害後のリモデリング反応において、細胞増殖およびアポトーシス抑制に直接的作用を有すこと、したがって血管治療後における再狭窄反応を惹起することが明らかになった。これは従来の研究では解析困難であったエピジェネティクス制御機構に着目したものであり、新規性が高い。本研究成果は研究発表(平成20年度の研究成果)に示したとおり、国内外の関連学会に発表し、高い評価を受けた。最終的にはJ Biol Chem誌に掲載された。
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Research Products
(4 results)