2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390227
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 能彦 Nara Medical University, 医学部, 教授 (30250260)
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Keywords | 可溶型Flt-1 / 動脈硬化 / 腎不全 / ApoE欠損マウス |
Research Abstract |
腎不全症例に心不全が高頻度に合併すること。また、動脈硬化病変が増悪することはよく知られた事実である。また、心不全、腎不全がドジに存在し、お互いにお互いの病態を悪化させることから、心腎連関として注目されている。しかし、心腎連関の分子機序は解明されておらず、本年度は心腎連関の分子機序を解明する目的で研究を行い以下の知見を得た。特に動脈硬化に促進的に働くサイトカインPlGFとその受容体の可溶型アイソフォームでPlGFに拮抗的に働く可溶型Flt-1に注目した。 (1) ヒト試料を用いて可溶型Flt-1が腎臓で産生され腎静脈を介して大循環系に分泌されること。 (2) 腎臓での可溶型Flt-1産生がCKDの重症度に比例して低下すること。(3) ヒトCKD症例で、血中の可溶型Flt-1濃度がCKDの重症度に比例して低下すること (4) CKDの重症度に合わせて冠動脈硬化は重症化するが、CKD症例で冠動脈の重症度と血中のPIGF/可溶型Flt-1比が上昇すること(5) 動脈硬化のモデルマウスであるApoEノックアウトマウス(ApoEKO)に腎不全を作成すると、ヒトと同様に腎臓での可溶型Flt産生が低下し、血中の可溶型Flt-1濃度が低下すること。(7) ApoEKOに腎不全を作成すると動脈硬化が増悪すること。(8) リコンビナント可溶型Flt-1を作成し、ApoEKOの腎不全モデルマウスに投与すると、動脈硬化の増悪を有意にレスキューできること。 (9) 可溶型Flt-1を投与している大動脈では対照と比べ有意に大動脈プラーク内へのマクロファージの浸潤が少ないことである.等、可溶型Flt-1が、CKDにおける動脈硬化発症・増悪に関わる仮説を支持する発見した。
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